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転載:初めてコーヒー豆を買った頃

2020年4月から9月末まで半年間、so good coffee という名前で週1回平日の3時間だけ店頭に立って自家焙煎珈琲豆を販売していました。ブランドは友人が継続し、わたしは別のブランドを立てることにしたので(喧嘩別れじゃないですよ)、当時せっかくだからいろんなことをやってみようと作ったnoteから、自分の書いた記事を転載します。写真は当時載せたもので、これもわたしがアップしたものです。

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so good coffee のナカヤマです。立ち寄ってくれた人が空っぽのnoteを見たらつまらないだろうときょうもコーヒーの思い出など。

最初にコーヒー豆を買いに行ったのは、バイトしていたギャラリーのおつかい。飯倉片町にあった光のたっぷり入る気持ちのいいギャラリーで、癖のある大人がたくさん来ていて、人を観察するのは面白かったです。

「るりこちゃん、コーヒー買ってきて」
六本木の交差点方向に向かうと「どんパ」という喫茶店があって、そこまでコーヒーを買いにでかけます。店の入り口で豆を販売していて、ちかくに水出しコーヒーのきらきら光るガラスのシリンダーがずらっとならんでコーヒーがひとしずくずつ落ちている。そんな記憶も遠くて、あれはほんとにそうだったのかしら。

このどんパは、おつかいに行くだけで店の中には数回連れて行ってもらったことがあったくらい。ギャラリーで飲むコーヒーよりさらりとしていた気がするけど、あとから入れた知識のせいかもしれません。おつかいに行った六本木の店はもちろん、数年前に銀座の店も閉めちゃったんですね。

ずらりと並んだ豆の中から、ご指定は深煎り、フレンチロースト。一番黒いのから2番目の豆。これを100g挽いてもらって買うんです。淹れるのはもっぱらオーナーで、わたしは豆を買うだけ。となりのイタリアンローストはもう、カブトムシの背中みたいに黒光りしてたのを思い出します。みんながおいしいというコーヒーを、そうなんだろうなと思って飲んでいたあの頃のわたし。なんとなく、深煎りの苦く重たいコーヒーがおいしいものなんだなという基準ができたのはそのせいです。

実家は紅茶をよく飲む家で、コーヒーを飲むことはわたしにとってトクベツなことでした。わたしにとってのおいしいコーヒーは相変わらず重たい味で、むしろカップやインテリアやお菓子に関心がありました。だから、コーヒーはソトの味。

バイトをやめて以降、レギュラーコーヒーを買うなんてトンと縁が無かったんですが、結婚した相手が毎日コーヒーを淹れる人でした。それでもスーパーで大袋のコーヒーを買うくらいで、自分は紅茶派だったのに、今の自分が信じられない。紅茶派でも気持ちよく飲めるコーヒーに出会ったということなんですけどね。いつもは中煎りか中深煎りくらいだけれど、ときどき思い切ってイタリアンローストくらいに焼くことがあります。もちろん苦みはあるけれど、癖が無くて飲んだら口の中にいつまでも残らずにすっきり消えていく。

これが人にも伝えたくてお店まで始めてしまったのだけれど。とりあえず今日はわたしのおつかいの話。


コーヒーの焙煎機がほしくてコツコツ貯金中。なかなか貯まらないけど、あなたのおかげで一歩近づきます。