見出し画像

閉じたカラダ 折れたこころ

君は傷ついているのだ、と言われて
初めて心が折れた。

そうか。
私は傷ついていたのか。
知らなかった、ってか気づいてなかった。
胸から血をだらだら流しながら、笑顔を作っていたのかと愕然とした。

怒りを認めて、腹を立てればいい。
悲しみを認めて、大声で泣けばいい。

あなたはそんな風に言った。
それはよく分かる。
けれど。

自分が傷ついているのだと知ってしまったら、痛みを引き受けなければならない。
それがイヤで、血を流している自分をスルーしてきたのだ。
それっぽっちでこころ揺らしている自分を認めたくないから
自分は平気なんだって言い聞かしてきたのだ。

今日、あなたはそれを台無しにしてしまった。

私の傷は私に属している。
その傷による怒りも、悲しみも。
ぜんぶ私のもの。

だから、簡単に触れてほしくなかった。
私の傷に触れてほしくなかった。

でも、本当は分かっている。
私が腹を立てているのは、あなたにじゃないってこと。

あなたは悪くない。

その傷に触れることができるのは、自分しかいない
そう思って
あなたはあえてそこに触れてくれたのだから。

もしかすると
その傷だって誰かに触れてほしがっていたのかもしれないのだから。

ただ、そのあなたのやさしさを受け取る余裕が
今の私にはない。
それだけのこと。

あなたに腹を立てるのは筋違いだ。
本当は分かってる。

あるのに見ないふりしてきた
その傷は
間違いなく私のもの。
けれど、お願いだから
今しばらくは、そっとしておいてほしい。

いつかきっと
その傷跡をあなたに笑って見せられる日が来ると思う。
だから、そっとしておいてほしい。

お願いだから
閉じたカラダと折れたこころを、そっと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?