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演技のまわり道

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演技ということがわからなくて、2019年から書き始めました。演技や戯曲を書く中での問いや、影響を受けたものについての雑談noteです。
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#映画

サブテクストが必要で長くなる

今書いている作品が、物理的に上演時間が長いものになるのではないか、と思った理由の一つにサブテクストが必要だと思いはじめたことがある。というのも、俳優がある演技を選択する根拠や安心感となり得るものが、演劇の現場では充分に説明されているのだろうか?という気持ちになってきたからだ。 サブテクストは、キャラクターやストーリーの状況を補足するというだけでない。その作品が前提とするものの共有もまたテクストの世界の中で行えた方がよいのではないかとわたしは考える。 これまでは演劇の形式と

なぜセリフのニュアンスを抜くのか

前回の記事では「わたしを大事にしながら演じる方法はないのか」について考えた。宮崎は「ニュアンス抜き」という方法を稽古場で選択しているが、なぜニュアンスを抜くのかについて今回は書きたいと思う。 コンプレックスは武器になりえるアングラ演劇もどき(白塗りをして踊る演劇を当時行っていた)をやめて、現代演劇がやりたいと再スタートした大学3年生の頃、そもそもセリフを言えるということ自体がわからないという地点から形式についての思考をはじめた。例えば「わたしは猫でない」と書かれた紙があった