秀山祭九月大歌舞伎|寺子屋・勧進帳・松浦の太鼓
九月大歌舞伎の、夜の部に行ってきました。
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/630
年に数回、イヤホンガイドを頼りに感激するのだが、今回は友人に誘われて「麴也主催の歌舞伎鑑賞ツアーⅡ」に参加。
三重大学人文学部准教授、田中綾乃先生による事前レクチャーを受けました。
レクチャー冒頭から、歌舞伎愛溢れる田中先生の
「寺子屋→勧進帳なんて、フルコースに次ぐフルコース……っ!!」
との熱弁を浴びる。
感激して思いましたが、たしかにおっしゃる通りでした!
フルコース(寺子屋)→フルコース(勧進帳)→果物・アイス・クリームたっぷりの豪華パフェ(松浦の太鼓
)、という感じ。
寺子屋
中村吉右衛門さん演じる松王丸の、泣き笑いの演技に注目。
松王丸の衣装が、雪の積もった松の模様なのですが、これは「枝に降り積もった雪=こらえる象徴」なのだそう。
ちょうど先月観劇した八月納涼歌舞伎の「伽羅先代萩」も身代わりものだったのですが(大事な主人を守るために我が子を犠牲にする)、この政岡も同じ模様の着物を着ていたとか。
事前に知っていると、衣装や仕草の意味も存分に楽しめるんだ…!とあって、歌舞伎についてますます知りたくなりました。
ちなみに、私たちが感激した次の日に吉右衛門さんは高熱のため休演されたとのこと。
あの緊張感ある素晴らしい演技が、演者の魂が存分に込められていることを改めて感じます。
ゆっくりお休みになって、また素晴らしいお姿を舞台で拝見できますように。
勧進帳
奇数日と偶数日で弁慶役が入れ替わるのですが、私が見に行った日は片岡仁左衛門さんでした。
ちょうど、私が感激した日のことを、義経役であり仁左衛門さんの息子さんでもある孝太郎さんがブログに書いていらっしゃいました。
https://ameblo.jp/takataro-kataoka/entry-12525982841.html
ほんと、気迫あふれるのはもちろん、仕草のひとつ、表情のひとつにわたって弁慶の人柄や豪快さが伝わってくるようでした。
イヤホンガイドによると、仁左衛門さんは非常に縁起をアップデートするそうで、その進化っぷりを拝見するのも楽しみですね。
義経も、気品あふれる佇まいで非常に美しかったです。
田中先生の事前レクチャーでは、弁慶たちを見逃す富樫役の心情に言及されていて、どの登場人物に心を当てはめてもじんとくるような内容でした。
松浦の太鼓
こちらは忠臣蔵のスピンオフ的な作品。
赤穂浪士の話でもありながら、その周囲にいる人たちのお話しで、どこかコミカルです。
中村歌六三世の百回忌追善ということで、現・歌六さんが松浦役を演じてらっしゃいました。
いやあ、気分屋な松浦が可愛くて、非常に楽しかったです。
また、お縫役の吉之丞さんの所作が非常に美しくて、ほれぼれしました。
歌舞伎を見ると何度も同じことを思ってしまうのですが、実際の女性よりも女性らしいと思います。
歌舞伎、ますます好きになりました。
<Spark Joy!>
★寺子屋、宮仕えの大変さや切なさの名言が飛び出します。
いつの時代も、大変だったんだなあ……。
★一緒に見に行った方々は、松王丸の子を想う気持ちに涙したとのことですが、私は弁慶の酒の飲みっぷり(の演技)に感激しました。
あんなに酒飲みということが伝わる仕草って他にあまり見ないです!
(酒好きなので、めっちゃシンパシー)
いつの時代の出来事でも、人間の本質は共感できる。
<Please!>
★歌舞伎に限ったことではないのですが、舞台を観に行ったときに前の席の人が前のめりに乗り出すと、私が見えなくなるんですー(涙)
見たい気持ちも、興奮しちゃう気持ちもわかるのですが、背伸びしたり前のめりになったりするのは気をつけようね……!
秀山祭九月大歌舞伎
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/630
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