過去の呪縛

ダラダラと過ごした休日の昼下がり
何もせずに1日を終えるのが癪で
ふらふらと駅近のカフェにやってきた

「これひとつ、あ、トールサイズで」

コーヒーは飲めないし、
ほかのメニュー選ぶのも面倒だし、

と心の中で言い訳を並べながら
密かに気になっていた
季節限定のフラペチーノを頼んだ

昔は迷わずフラペチーノを頼んでいたし
その写真をSNSに投稿していた

今だって流行り物が気になって試したいのに
どこか恥ずかしい気持ちが、好奇心を侵食しつつある

いい大人なのに、と思われている気がしてならない

呪縛だ

学生の頃にフラペチーノを飲む大人をバカにした呪縛

「マスカットフラペチーノ トールでお待ちのお客さまー!」

「あ、ありがとうございます」

そんな大きな声で呼ばないで
学生の私が、アラサーの私を嘲笑っている気がする

「はあ」

過去の自分から逃げるように角の席を陣取る

ズズズ

うん、当たりだ
過去の自分に嘲笑われる対価を払う価値があった




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?