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風を待っていた。

すべて見透かすかのような青空に向かって、
まっすぐに、ひたすらに車を走らせていく。

左手には、音楽を。
右手には、カメラと。


白い月がそっと見守っていた。





いつだったか
「どこか遠くに行ってしまいそう」
といわれたことがある。

別に遠くに行くつもりなんてないけど..

と、その時は笑ってすませた。



きっとその時の私は、 
目の前にある現実を何一つ大事にしてなくて
何にも固執せずゆらゆらと生きていたんだろう。



一つのところにじっとしてるのが嫌いだった。

もう逃げられないくらい
自分の場所ができてしまうのが怖かった。





風の音を、聴きにきた。

木々と水が調和するこの場所に。


葉っぱのこすれる音を
サクサクと踏む足音を
水が揺めき揺蕩うさまを
光がこぼれ落ちて戯れるのを


私がただここにいていいんだということを

私もあなたの一部だということを

教えてくれる。


ひらひらと舞う葉っぱが
どこまでも飛んでいけるように

風を待ってたんだ。



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