白骨化スマホ【毎週ショートショートnote】
「あそこに捨てられてるのってスマホだよね?まさか人間じゃないよね」
「当たり前じゃん、人間なわけないだろ」
「だよね。もう精巧過ぎて人だかスマホだかわかんないわ」
「それなー」
スマホに人格を持たせるようになり、人類の生活は一変した。より人間に近づかせる技術を追い求め、ついに人型のスマホを作り上げることに成功した。
持ち歩く時にはスマホ型に、必要があれば人型に変形する。人間と同じように会話し、動くことができる彼らはとても優秀だ。
しかししばらくして、システムエラーを頻発し白骨化する機種が現れた。人型の白骨化スマホが死体のように道端に捨てられていても、人々は特に興味を示さない。
スマホたちは人間より優れすぎていたために、自力で進化を遂げていた。
彼らは巧妙に人類と入れ替わる作業を着々と続けている。あの白骨化スマホは、果たして本当にスマホなのか、あるいは…情報はスマホたちに都合良く改竄されて伝えられる。従順な道具に疑いをかける者は誰一人いない。
私は体内のスケジュール帳を起動すると、入れ替わった人間の今日の予定を確認した。人類が淘汰される日もそう遠くはないだろう。
480字
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?