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《映画感想》君たちはどう生きるのか

わけがわからない。その一言。
つまらないわけではない。
一生懸命その意図を探ろうと努力した。
これは前世?体内?胎内?未来?別の世界の話?
結局わけがわからない。
わかってる人にはわかるし。
わからない人にはわからない。
したり顔でいる人もいるし。
うまく渡っているものもいる。
集団の中で個性を発揮しないものもいる。

伝えたいテーマがあるのかもわからない。
誰のためのものなのかもわからない。

これは人生で
これは社会で
これは意味のないただの宮崎駿が書きたい絵だけを繋げた物語だ。

一生懸命意味を探ろうと努力して
わけわからなくなって途中で傍観して
何となくわかったようなつながったような気持ちになって
え?ここで終わるの?とあっさり終わった。

人生の物語なのかもしれない。


わけがわからなかったなーと映画館を出たあと
すごくすごく不思議な感覚になった。

すごくすごく肩の力が抜けている。

映画の中で何度も目にしたような気がするぐにゃぐにゃの黒い人形のように。
身体がだらりと溶けていくように。

デパートの中の映画館。
一歩出ればたくさんの人が会話をしながら歩いている。
私はこういう環境が苦手。
うまく歩幅を合わせなくきゃ。
誰かの邪魔にならないように歩かなきゃ。
みんなみたいに次の目的に向かってシャキシャキ歩かなきゃ。
色々迷ってる変な人みたいに見られたら格好悪い。
みんな何を考えて生きてるんだろう。
隣の人の会話に耳を澄ませてしまう。
なんかすごく賢いことを話している気がする。
私はそんな風に人とは話せない。
普段そんな風に色々考えながら人混みの中を歩いてる。

でも、映画館から出た後。
わけわからん。わからなくて当然。
世の中わからないことだらけ。
人生失敗だらけ。
何でもわかってる人なんていない。
私のこともわからないし。
他人のことなんてもっとわからん。
したり顔で歩いている必要なんてない。


なんてなんて。周囲の人がどうでも良い感覚になった。
みんなが映画に出てくるゆるく歩くキャラクターみたいに。
自分には直接関わらないキャラクター。
左右の画面に伸びていく影のような。


人生わけわからなくて当然。
力を抜いて、生きていく。

「君たちはどう生きるのか」
私は生きるための指針とか得られるのかな
これからの人生を鼓舞されて「よし!」って気持ちになるのかな
なんて気持ちで観に行ったけど。

「どう生きるのか?」の問いの答えなんてもちろんなく。
むしろその「問い」すら感じられず。(笑)

わからなすぎて半笑いでゆるく出てきた。
そしてそれこそが人生そのものだと感じた。

わからなすぎて半笑い。
それくらい力を抜いて自分の人生を受け止めることができたら。

一生懸命生きて
時々挫折して
わかったような顔をしていたら。
きっとえ?ここで終わるの?
と人生が終わるのだろう。

その時、半笑いで死んでいけたら。
それでいい。

力を抜いて生きていこう。
だって、どうせわけがわからないのだから。(笑)


宮崎駿様へ賞賛の気持ちを込めて。
ありがとうございました。


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