掃き溜めの猫

少女は馬車に乗って
夜の虹を探している

目蓋を持ち上げれば
それは消えてしまう

誰もいない冬
僻地に降る雨が
微睡みながら
彼女を夢見ている

廃屋の暗がりには
蜘蛛の巣がめぐり
湿った木の葉を
時が腐らせる

雨はかなしい
遠い日に恋した少女は
もういないのだから

掃き溜めに迷い込んだ
行く宛てのない仔猫が
そっと雨を舐める