磁気探査での失敗「オペレーターに合図しろよ!」

 磁気探査とは磁気を検知するセンサーを使用して不発弾を探す仕事です。

 今回の失敗は「重機が動いてる途中で穴の中に入った」ことです。

 センサーで探査をした後、磁気反応を検知した場所を掘って反応した物が何なのかを確認していく作業があります。この反応物を掘り出す作業のことを「確認探査」といいます。
 確認探査をするときは人間がスコップ等で掘り進めるのが基本ですが、場合によっては重機を使用して掘削を進めることもあります。

 ある日の現場、前日にセンサーを使用した探査が終わったので、あとは確認探査をすれば現場が終わるところまで工程が進んでいた。
 今日の工程が順調に進めばもう少しで現場が終わる。納期にも間に合う。ほかの現場に人数を割くことができる。といった前向きだがどこか焦りも感じる前のめりな空気感が現場のみんなから感じられた。自分もその空気感にあてられて「今日は気合の入れどころだ!」という思いを勝手に抱いていた。
 その現場は地中の深いところに反応があったので、反応物があると思われる深度の近くまで重機で掘り進めたあと、
1 簡易センサーで探査
2 反応があった場所を重機で掘る
3 また簡易センサーで探査
4 簡易センサーがピンポイントで反応したところをスコップで掘っていく
5 反応物を発見する
という流れを繰り返していく方法で確認探査を進めていった。

 自分の失敗したタイミングは上記の2と3の間で起きた。
 1が終わり、センサーの反応がまだまだ地面の下のほうだったので重機のオペレーターに「まだもうちょい下です!30センチ下までお願いします!」とお願いした。
 現場の「前のめりな空気感」と「勝手な気合」のせいで自分は作業を進めることに対して変に焦っていた。そのせいか、自分で30センチの掘削をお願いしたのに20センチ掘削したところで掘削した穴の中にセンサーを持って入ってしまった。しかも重機のオペレーターに何も声掛けせず、合図も出さなかった。重機は掘削した土を穴の横付近に置くためにシャベルを横方向にぐるりと回転し、土を置いたら穴の位置までもどってくる作業を繰り返していた。この時の穴の深さは130センチぐらいだったので、身長170センチの自分の頭を吹っ飛ばすには十分な高さだった。
 現場で周りにいた上司や先輩方は、自殺するにはあまりにも最適なタイミングで穴の中に入った自分を見て、すぐに重機のオペレーターに「止まれ!止まれ!」と叫んだりホイッスルで合図を送ることで異変を伝えシャベルの動きを止めてくれた。
 この後、自分はすぐに穴から引き上げられて上司や先輩方から「ちゃんとオペレーターに合図しろよ!」としっかり注意と指導を受けた。現場で怪我をすると作業を止めなきゃいけないし他の現場にも支障が出ることも教えていただいた。

 磁気探査だけでなく土木や建築現場に従事する方々には、
 「重機の作業中は動線に入らないこと」
 「動線に入るときは重機のオペレーターに合図してから動くこと」
 をおすすめします。

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