磁気探査での失敗 番外編 「水筒どこだ!」

 磁気探査とは磁気を検知する特殊なセンサーを使用して不発弾を探していく仕事です。
 
 今回の失敗は「水筒を現場に忘れた」ことです。

 磁気探査の基本はセンサーを持ってひたすら歩くことです。なので夏場の時期になると現場が過酷になってくる。作業靴からは地面の熱が伝わってくるし、ヘルメットの中は熱がこもりやすくなる、さらに作業着は長袖で手袋までつけているので、作業着がビシャビシャになります。

  そんな夏場の作業では「水分」と「塩分」が必需品になる。自分の場合、夏の現場に持っていく水分は4リットルです。日によってはこれでも足りない時もあるくらいです。

 ある日の現場、その日の作業が終わったら2日間挟んでまた作業を開始することになった。その日はより一層のカンカン照りで、塩分タブレットでは塩分の補給が追い付いてない気がしたので持参していた塩を食べながら歩き続けた。塩そのものをかじっているはずなのにうまいと感じてしまっているので相当な量の汗をかいていたんだと思う。
 一日の過酷な作業が終わり、あとは帰るだけになった。「早く帰ろう!」という暗黙の共通認識でみんなクタクタになりながらもさっさと片づけを終え、事務所に帰り着いた。

 事務所での作業を終えて帰宅しようとした時、自分の水筒が無いのに気が付いた。しかしこんなことは前にもあったので「どうせ現場で使った車の中に入ってるだろうなー」と軽く考え、面倒くさがりながらもカギを開けて車内を見渡したが水筒の姿はなかった。「あれ、おかしいな?見当たらないなー」とここから少し焦り始めた。一緒に現場にいた人に聞いても「いやー、見てないなー」としか返事が返ってこないので、疲れとちょっとした焦りのせいで人への聞き方も少し雑になっていき、果てには見つからないことへの八つ当たりもしていた。今振り返っても本当に残念な奴だなと思う。結局、そんな残念な奴の水筒は見つかるはずもなく、現場に置き去りにされているのが確定した。

 「うわー!だるいな!明日回収しないと!」と思ったがそこで明日から2日間現場がないことを思い出した。「2日間水筒が無い」これは自分にとってほんとに最悪である。これから2日間の現場は水を買わないといけないが、水なんて買いたくないしペットボトルには保冷性能がない。さらに、水筒本体の行方がちゃんとわかってないので回収できる確証がない。
 「やっちゃったなー」と思いつつその日は諦めて帰宅し、その後の2日間の現場は仕方なく水を買って過ごした。
 
 2日後、また水筒を忘れた現場に戻ってきた。作業を開始する前に急いで水筒を探してみると、泥と砂と草にまみれた状態の水筒を発見した。幸いただ汚れているだけで破損してはいなかった。水筒のいない2日間を経験することで水筒のありがたさが身に染みた。わざわざ買ってるのにぬるいペットボトルの水を飲むのはこりごりだ。

  これから磁気探査をはじめる方だけでなく、土木や建築の現場作業に関わる方には、
 「撤収作業後に忘れ物がないか確認する」
 ことをおすすめします。

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