磁気探査での失敗 「何やってんだ!断線するとこだったぞ!」

 磁気探査とは磁気を検知する特殊なセンサーを使用して不発弾を探す仕事です。

 今回の失敗は「センサーのキャプタイヤを断線しかけたこと」です。

 まず「キャプタイヤ」とはゴム製のケーブルのことで、ケーブルの中には電気を通す導線が入っています。磁気を検知するセンサーはキャプタイヤにつながっており、これが断線すると探査ができなくなります。
 つまり、断線すると仕事ができなくなります。

 ある日の現場、午前中の作業が終わったので昼休憩前にいったん現場で使用した道具を車の中に片付けていた時のこと、先輩から「キャプタイヤ片付けといて!アンプにつないだままでいいよ!」と言われた。アンプは雨風に弱い精密機械なので基本的に車の中で使用している。なのでキャプタイヤは車両後部のバックドアを開けて、車の中から外に伸びている形で使用していた。
 自分は早く休憩に入りたかったので、少しの手間を惜しんでセンサーとキャプタイヤを車の「中」ではなく車の「外」に置くことにした。自分としては「また午後にも使うし手間が省けていいだろ」と午後の自分にも楽をさせてやった感じを出して調子に乗っていた。

 別の道具の片付けも終わり、休憩に入るためにバックドアを閉めようとした。そのときの自分は「やっと休憩に入れる!飯だ!」という残念な感情でいっぱいになっており、キャプタイヤの線が車の外に伸びていることなど忘れていた。食欲いっぱいの頭で思いっきりバックドアを振り下ろそうとしている自分を現場の先輩の一人が見ていた。その先輩はキャプタイヤがつながったまま外に伸びていることに気が付いて「まて!ストップ!閉めるな!」と言ってくれたが間に合わず、無情にもバックドアは「バン!」と、いつもより大きな音を立てて閉まった。大事に扱うべきキャプタイヤをドアの隙間に完全に挟むというとんでもないことをやらかしてしまった。
 先輩の声で「ヤバい!やっちまった!」と気づいた自分は急いでバックドアを開けてキャプタイヤの状態を確認した。幸いなことに、キャプタイヤは外から見ても傷はなく、正常に通電したので断線している様子はなかった。先輩からは「何やってんだ!断線するとこだったぞ!」と、怒りと安堵が半分ずつのような声でしっかり注意された。

 磁気探査をしている、もしくは始めようとしている方には、
 「現場の片付けは最後まで手を抜かない」
 「キャプタイヤを扱うときはどこかに挟んだり、無理に引っ張らないように工夫をする」
 ことをおすすめします。
 

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