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グラフィック・グラフィティ、自問自答。

─ アルバムタイトル”graphic graffiti”に込められた意味はなんでしょう?
まず意味を込めた日本語があって、それを英語にして、という過程ではなく、最初から英語のイメージ/語感だけでつけてしまうので、意味はわかりません。無理に日本語にすると面白さ半減みたいな。殆ど毎回そういう感じですが、英語的な間違いを自覚しつつ、英語圏の人がどう訳すのか、興味あります。あと意識してないし必ずそうしたいわけではないですが、同じスペルを続けるのが好きということに今更気付きました。次こそは”Again“みたいにワンワードをつけたいのですが、難しいです。あと日本語のタイトルにする、という選択肢もなくはないですが、iTunesStoreで海外にも配信している現在は、よりその必要性がなくなったかもしれません。前にkusakariという日本語タイトル曲がありましたが、結構印象深かったようなので、全部ローマ字的な感じでタイトルつけていくというのも面白いかもしれません。

─ 収録曲のタイトルの意味を教えてください。
01.adam

レーベル名を1年くらい考えてて、響き的にアダムというのが浮かびましたが、宗教的な意味を感じられると困るのでやめて、今回1番最後に出来たこの曲のタイトルに流用しました。意味より語感とスペルの並びが好きです。と、思ったら過去のMP3作品に既につけてました。


02.centerposition
毎回、タイトルは全部曲が出来てから、まとめて記号のようにつけるやり方です。テーマを決めずに抽象画を描き終え、タイトルを決めるというような。自分の中のイメージとして曲の雰囲気に合う言葉を見つける作業になるわけですが、そこの着地点はインストなので基本的にはなんとなく、としかいいようがありません。この曲は割と自分としてはストレートなアプローチになったので、このようなタイトルがしっくりきました。ただ、ストレートなんとかというタイトルだとストレート過ぎます。


03.middleage
年なんて関係ねーと思うところも当然ありますが、20代の時には作らなかった/作れなかったものを今作ってるのも感覚もあるので、あえてこのようなタイトルにしてみました。


04.beatleaks
タイトルに時事ネタを使うパターンがあるのですが、これはWikiLeaksをもじったものです。ちなみに2003年の”device people“には’inner blowing’という曲があり、これは「内部告発」というのを自分なりに英語にしたものです(正しい英訳はwhistle blowing)。
05.desolation
出来上がってなんとなく聴いてるうちに砂漠とかサボテンがあるようなだだっ広い風景が合ってるような気がしたので、このようなタイトルになりました。


06.regret
今年を表す一文字とかは基本的に興味ないのですが、流石に今年は色々な事があったので、あえてつけてみました。単純にこれも語感とスペルの並びが好きなこともありつつ。
07.stopcoolconfine
これはもっと直接的な意味でつけてみました。止める、冷やす、閉じ込める。何のことか、説明不要かと思います。
08.exposure
これは聴いてたら木漏れ日のようなイメージが湧きましたが、曲調的にはそのような燦々とした感じではないので、言葉の選び方はヒネリを加えました。
09.newstream
YouTubeのbroadcast yourselfという標語?をもじった’beatcast yourself‘や’New Tube‘、Twitterに対しての’sweet tweet‘とか今までそういう曲タイトルがあるわけなんですが、前作以後から始めたUSTREAMに対して、お決まりのようにつけてみました。
10.graphication
アルバムタイトルチューンは大袈裟なので、それに近い言葉を色々探してるうちに某企業の広報誌のタイトルを知り、いい造語だと思ったので、それをつけてしまいました。
というわけで、タイトル名の説明だけしても音は伝わらないだろうし、音そのものの説明は出来ないので、聴いて感じてもらうしかありません。ちなみに今回は10枚目・全10曲ということで1枚目から10枚目の各アルバムタイトルの頭文字を1曲目から順に使っていくシステムでタイトルを決めていきました。1曲目は1枚目の”Again“のAから、2曲目は”circuit’72“のCから始まる言葉でつけていくというようなことです。だからなんだ、ということですが、インストなので、それくらい記号的につけてます。

─ このアルバムにの制作にはどのくらいの期間を費やしましたか?
去年のいつ頃から始めたか忘れたので、最初に作った曲のデータの作成日を見たら6月だったので、完成まで1年以上かかってしまったという感じですが、ひたすらずっとやっていたわけではなく、なかなか方向性が決まらなかったこともあり、作業は断続的でした。実は今回のアルバムはいつも通り?のブレイクをエディットしたビートものとシンセ中心に作ったものと結果的に今回のアルバムに収録されることになった自分では名付けようの無い路線のものと、大枠として3つあり、どれがいいか定まらないまま、且つそれら違った路線のものを1枚のアルバムに混在させることはしたくなかったので、悶々と行ったり来たりしていました。2011年中にリリースしたかったので、時間ギリギリまで追い込んで、最終的な決断をしました。切羽詰まった状態になった時にどうなるか、自分自身を試したところがあります。ここで投げ出してしまうと、この先何年も完成しないような気がしたので、締め切りを決めることが必要だったわけです。そして無事完成まで漕ぎ着けました。当然漕ぎ着けない可能性もありましたが、幸いそのようなことはありませんでした。先にTwitterで決まっても無いのに10枚目だから全10曲と書いたり、様々な角度から自分を追い込み、行き詰まりを打破しようと思いました。

─ アルバムに使用した機材/ソフトは何ですか?
MacBook ProとDigital Performerです。今回はソフトサンプラーも使わず、Digital Performerのグリッド上に波形を貼っていっただけです。実はこのやり方は2000年位にDigital Performerを使い始めてからやっていたことで(打ち込みではなく貼り込み)、この手法でリミックスや他のプロダクションではやってはいたものの、ソロアルバムでやり通したのは初めてかもしれません。しかしこれは結果的なことであって、他の路線のブレイクビーツチョップ系ではソフトサンプラーも使います。貼り込み自体は2000年に既に可能な方法であり、それだけDAWが進化してないと個人的には思っています。ということで、DAWに飽きてるので、何か他の作り方はないかなと考えていますが、単に昔のやり方に戻るというのも気が進まないことなので、考えあぐねています。

─ rar(アールエーアール)からのリリースにいたった経緯は?
前々からレーベルをやる可能性はあったのですが、イマイチ気が進まず、ようやくその気になりました。何故その気になったかというのは、今まで色々やってきて色々わかってきて、やっと自分でもやれそうだと今更ながらに思った、ということでしょう。

─ 昔バンドをやっていたと聞きましたが、演奏していた楽器は何ですか?
ドラム。あとシンセも使うので、鍵盤を少々。僕の音楽は大抵ドラムをやっていたというと、皆納得します。やはり人よりビートだけ鳴っていれば満足、メロディが邪魔、的な感覚は良くも悪くもあると思います。

─ エレクトロニックミュージックに入りこんだきっかけは?
他所で何度も言ってますが、小学生の時にYMOを聴いたからです。

─ Riow Araiにとってのredsoundとは何でしょう?
一応最初はテクノ/エレクトロ系をやる時の名義のつもりでしたが、そもそも別名義にしても特にメリットがないというのがREDSOUND x GRIND DISCOの時にわかったので(“electric emerald“も最初はredsound名義で出すつもりでした)、何かRiow Arai名義で出すには重たい、というような時に使うと思います。セブンでいうところのウインダム的な扱い、といってもわかる人は少ないと思いますが…

─ また新たに他のアーティストと一緒に音楽を作る予定はありますか?
頼まれれば。機会があれば。出会いがあれば。いつでも。

─ 今後のリリースの予定は?
今後CDを出すのかどうか、配信だけでいくのかどうか、情勢的にかなり分岐点な感じになってきています。とりあえず今年初めて配信のみのリリースを試みて、手応えもあったので、来年はまず98年より数年間HP上で発表したトラックをまとめてiTunesStoreでリリースすることを考えています。そしてまたニューアルバムという流れになればなと思っています。

初出:2011年11月11日のブログより


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