戦争を考える 054 大義名分?
どんな戦争でも、大義名分を掲げる。英語だと、cause とか reason になるのだろうか?攻める側も、守る側も、それぞれ大義を強調するが、それが妥当か正当かは、結局のところ、勝者が決めることになる。歴史を振り返れば、ほとんど勝者が歴史を書くことになる。かつて中国大陸でも、前王朝を倒した新王朝が、前王朝の歴史を書く伝統があったが、悲しい哉、敗者は世界史の波間から姿を消えていくか(例えば、カルタゴ)、もし残ったとしても、勝者が作る戦後の枠組みの中で、肩身をすぼめて生きていくしかない(今の日本とドイツ)。これが古今東西、変わらない冷徹な現実である。もちろん勝者は思いのままに、戦争の意義とその必要性を最大限に宣伝し、当然の権利として、敗戦した国民を洗脳、抑圧できるのだ。
現在の覇権国であるアメリカは、建国以来、数多くの戦争を繰り返し起こしてきた。起こしてきたと、あえて言うが、当初は、相手から起こされたように見えた戦争でも、後から振り返れば、ほとんどはアメリカが仕向けた戦いが、圧倒的に多いのではないのか?例外的なのは、朝鮮戦争ぐらいかもしれないが、南北戦争以降、遅れてしまったヨーロッパとの植民地獲得競争に、追いつけ追い越せの勢いで、太平洋を渡って行く。ハワイを侵略、併合した後、米西戦争。飛ばして、いわゆる太平洋戦争、ベトナム戦争、イラク戦争等、それこそ枚挙に暇がない。そして今や、中東を通り越して、黒海へと向かっているようなのだが?
侵略、戦争、紛争の手法(手口と云うべきか?)は、様々であるが、ハワイは、内紛に乗じてと云うべきか、長年仕込んできた謀略、経済的圧迫等で、見事に奪った。後に、謝罪?したが、ハワイにとっては、後の祭りである。またスペインとの戦争も、新聞による捏造記事で、国民の戦意を高揚させ、さらにメイン号の不可解な爆発、沈没等を口実に、戦争に突入し、目論見通りフィリピンとグアムを奪い、カリブ海からスペインを追い払った。ベトナムでは、ドミノ理論とか、トンキン湾事件を仕組んだ。その後、中東諸国とは、テロとの戦い、イラン核開発疑惑等、自らの思い通りにしたくなると、色々と手練手管を繰り出す。実に、好戦的な国風(くにぶり)である。もちろん中には、正当性がある戦争もあるのだろうが、果たして五分五分なのか、或いは、三割バッターなのか?
研究社の新英和辞典では、pretext という単語は、もっともらしい理屈、口実と訳されている。今回の戦争についても、かなり前から、情報機関等が暗躍していたのではないかとも云われており、相手を挑発する、いつもの手慣れた方法なのかもしれない。しかしながら、大義名分が希薄な支援?が、アメリカの威信を低下させる可能性もあるので、前のめりになっている日本の現政権は、もっと慎重に推移を見守る必要があるのではないのだろうか。どの国が敵対国になったら、日本の安全保障の脅威になるのか?欧米追随の結果と影響について、その得失を思慮深く判断すべきである。勇気!
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