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戦争を考える 025 戦後処理

戦争、紛争の勝利と敗北が確定する前に、戦後処理をどうすべきかを、事前に策定しておく必要がある。第二次世界大戦中の米英ソによるテヘラン会談と大戦終結前のヤルタ会談が、戦後体制の枠組みを決めた。欧米のアジア・アフリカ、中近東の植民地等については、歯牙にも掛けていなかった。何故ならば、当時、世界は欧米と新興共産国ソ連だけであり、歯向かった日本と脆弱な大陸国中華民国ですら、ほとんど埒外だった。あたかも中世の世界地図の如く、欧米諸国から先は、海が滝のように落ちるぐらいのイメージであり、若い世代には信じられないだろうが、これが、つい百年前の実態であり、まだその残像は残っているのだ。

現在、ウクライナ侵攻が続いているが、ロシアの勝利は何か?ウクライナの敗北は何か?難民を受け入れているポーランドなどの隣国の勝利と敗北は?欧米諸国の勝利と敗北は?そして日本の勝利と敗北は?すべては、各国それぞれが熟慮の上で、判断すべきものである。例えば、欧州最貧国の一つとされるモルドバに数十万人の避難民が押し寄せている現状で、ではモルドバにとっての勝利と敗北は何かを、まず自国が考えねばならない。

残念ながら、日本は敗北しつつある。何故ならば、ロシアから平和条約交渉の停止を告げられたからだ。もし日本が窮地に追い込まれた時、ウクライナは日本を支援するのか?おそらく、せいぜいSNSで何か発信する程度ではなかろうか。国際情勢は、冷徹で現実的である。実は、ウクライナから見れば、日本は海が滝に落ちていく程度の距離感なのだが、ロシアは違う。すぐそこにある国であり、もしかしたら、互いにすぐ攻めて来る国の一つになるかもしれないのだ。ただでさえ、中国共産党と北朝鮮の脅威に加えて、ロシアまで脅威に加える必要などないはずだ。すでに各国とも、戦後処理を模索している。もちろん侵攻したロシアは、当初から戦後処理を考えていたはずだ。欧米各国はどうなのか?とにもかくにも、日本の政治家、マスコミが一時的な情感に流されることなく、日本の安全保障を最優先すべく、冷静な判断を下し、国益にかなった意見を発信していただきたい。


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