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栗と柿と冷静な査定10

彼女がそっと彼の手を離した時、彼も実は内心焦っていた。

(彼女、なんか隠してるみたいだな。けど俺も実は嘘付いてるんだよな~、、、)

大学を卒業し社会に出て商社に入り、1年で警察官に転職したと彼女には伝えていたが、本当は宇宙飛行士だった。

宇宙でもWi-Fiが繋がるので彼女へのLINEは送れるのだが、会うとなると地球に帰ってこなければならない。

なのでいつも会う頻度は月に1回か、下手したら2ヶ月に1回だった。

その間に彼女が浮気をしていないか、こっそり彼女のスマホに追跡アプリを入れてある。

幸いなことに他の男とホテルへ行った様子はない。

そんなことをぐるぐる考えていると、キリンがまたなにか話しかけてきた。

「それで?CafeRioはどう行ったらいいんです?」

少しイライラしているようだ。リスペリドンが切れたのだろうか?

するとしばらく考え込んでいた彼女がおもむろに口を開いた。

「わかった、案内するね。彼の車に乗って。」

と言ってポケットからボールを取り出し、キリンの目の前に投げると、キリンはそのボールの中にまたたくまに収容されてしまった。

「懐かしい!ポケモンやん!」

彼はテンションが上ってそう叫んだ。

「そうだよ(^^)メルカリで安かった(笑)ハイパーボールもあるよ(笑)」

彼女はニヤッと笑って、キリンが入ったボールを拾い、ポケットにしまった。

つづく

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