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栗と柿と冷静な査定2

ある朝、彼女からLINEが入っていた。

「あなたのお母さんに交際を止められる夢を見たよ🥲別れたほうがいいんかな?」

(また始まった)

と内心思ったが、こう返した。

「大丈夫やで。夢は夢やから。ちゃんと好きやから安心してな♥」

俺は無理やりハートを付けて彼女に返事をした。

夢、か。

最近見てないな。仕事に追われて、帰宅してからも風呂に入って飯を食って好きなアニメを見て気分転換して24時には寝る生活を送っている。

たまに残業で帰宅が22時を過ぎることもある。

泥のように眠っているのだが、朝起きても眠気が取れない。

「ちょっとキツイな」

と、独り言を洗面台でつぶやくと、母親とばったり鉢合わせた。

「あんた顔色悪いで。休んだら?」

「いや。大丈夫。」

「風邪ひきやすいんやし、無理しないこと。」

「ありがとう、母さん。」

その頃父親は居間で新聞を読んでいた。令和の時代に新聞をとっているのも我が家くらいかもしれないが、昭和世代の我々にとっては当たり前の習慣なので今更変えようがない。

それに新聞紙は情報を得られるだけでなく掃除にも使えるし、いざとなったら燃やせば暖もとれる。

そんな話を彼女にしたら、こう返された。

「超わかる😄うちも薪ストーブに焚き付けとして新聞いれるから、古紙回収のスペースが宝物に見えるもん(笑)」

「盗ったらいかんで?(笑)」

「んなことわかっとらー!(笑)」

そんな話をしながらドライブしたことを思い出した。

彼女とは交際2年目だ。

結婚を前提に付き合って欲しいと話した時、「はい。」と頬を赤らめて下を向いた彼女は、とてもしおらしかったが、今では助手席で大股を開いてグーグー寝ている。

(女ってワイルドだよな)

と、自分の姉貴たちを思い出しながら、ふっと笑った。

(子どもとか、どうすっかなー)

家族計画をあれやこれやと考えながら、俺はアクセルを強く踏んだ。

つづく

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