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事故を起こしやすい人とは? 野沢温泉スキー事故のふりかえり#2

2022年1月2日、野沢温泉でのスキー事故。前回は救助者側からのふりかえりを行い、私自身も大変勉強になりました。そして今回は負傷者の立場で事故を振り返ってみようと思います。(前回記事は⬇️)

「検証」の実際

 我々はよく、問題のあった企業や団体、或いは自治体や政府に対し「検証せよ」などと糾弾します。しかし実際の検証とは決して生やさしいものではないように思います。何故なら「検証」とはそもそも後ろ向きで、しかも良くないことがあったからやるのであって、当事者にとってそれを振り返るのは決して心地の良い作業ではないはずで、当然痛みも伴うでしょう。
 次第に「もう終わった事だし、いいじゃないか」という空気がその組織内に流れ出すことは想像に難くありません。内部調査なんてものが大抵は予定調和の「やったふり」で終わるのはそういうことなんだろうなと思います(多分)。違ったらすみません。

 事故といっても色々

 さて今回のスキー事故を見た時、幸いにも負傷者(A)は誰も不幸にしていません。専ら自分が痛い目にあっただけです。もちろん、滑走中にコントロールを失ったということは他人を巻き込む危険性を孕んではいましたが。
 それでも、もしかしたらAは「皆に迷惑をかけた」と感じているかも知れません。しかし救助に関わった仲間で「とんだ迷惑だったよ」と思っている人はいないはずです。それどころかいい経験になったと感じているのではないでしょうか。

本題

 そこで今回は1つアイデアが浮かびました。ズバリ、私自身の過去の事故を振り返って今後の事故防止のヒントにできないか、と考えました。

スキー事故と交通事故

 スキーは中〜上級者なら時速50〜60kmかそれ以上のスピードが出ます。ゲレンデではたくさんの人がそのスピードで、なんの規制もなく、好き勝手なカーブを描きながら滑り降りてくるのです。同じことを道路上で車かオートバイでやってみましょうか。絶対イヤですよね?
 そんな危険な事を何故スキーだとできるのでしょうか?それは雪というクッションと摩擦係数の低さに加え、斜面が転倒の衝撃を逃してくれるからです。それらが時に危険を忘れさせるのですが、やはり相当に危険な事をやっているという意識は常に必要です。その事を踏まえ、私自身の交通事故も含めて振り返ってみます。

※写真と文章は無関係です

 私の事故歴

 私はかつて教習所でこんな事を教官から言われました。「あなたの運転についてはどこも減点する箇所はありませんでした。しかし私の経験上、あなたのような人はよく事故を起こします。覚えておいて下さい。」この教官の予言通り、私は事故を繰り返しました。免許証を持って数年のうちに車で三度、中型バイクで一度。バイクの事故以外は全て自分の落ち度でした。
 オマケに自転車で転倒し鎖骨を骨折というのもあります。

 スキーでもこれまで人とぶつかった事が3度あり、そのうち2度は止まっている人にぶつかっています。幸運にも相手に怪我はありませんでした。

 またスキーでは自分で転んでの怪我もしています。肩の脱臼が二度(オフピステとゲレンデ)、膝の捻挫が一度(レース中)。パトロールを呼んだのは膝の時だけで、救急車を呼ぶような事は幸いありませんでした。客観的に見て、というか誰がどう見ても私は「事故を起こしやすい人間」です。

事故の真の原因とは

 事故を起こす要因は色々あるかと思いますが、ざっくり一言で言うと「性格」ではないでしょうか?先述の教官の言葉が示唆するように、「技術不足」が原因でないことは確かです。見かけ上、技術不足が原因に思えることもあるでしょうが、その場合でも真の原因は心理面、つまり性格にあると私は信じています。

 私なりに考えた図式は《冒険心 vs 恐怖心》のバランスです。冒険心には「スピード耐性」というような要素も含まれます。

 冒険心の方が勝っている人は、ある程度スピードを出せますのでスキーや運転の上達も早いのですが、その一方で危険に無頓着で事故を起こしてしまいます。
 反対に恐怖心の方が勝っている人は、なかなかスピードが出せず上達は遅い傾向です。スキーでいうと「なかなか谷を向けない人」です。しかしこういう人は滅多に事故を起こしません。ですからこのタイプの人に「事故のふりかえり」など無用なのです。

 もうお分かりのように、私は「冒険心の方が勝っている人」に分類されます。何か未知のものを目の前にしたとき、不安よりもワクワク感が先行するタイプでした。過去形で言ったのは、何度も事故を繰り返しようやく懲りた、即ち自分はこういうタイプなのだと遅ればせながら自覚したのです。それと年齢を重ねたせいで最近は恐怖心が勝つことが多くなりました。

 でも決して油断はできません。スキーヤーにとって雪は麻薬です。特に快晴で、乾いた軽い雪がパックされたような絶好のコンディション、或いは新雪。足裏を通して雪面から伝わる甘美な感触、浮遊感と回転に伴うG。分る人には分ると思います。そんな時はやっぱり今でも「うっひょー!」となってしまうのです。私は「うっひょー!となったら周囲を確認!」と何度も言い聞かせてスキーを谷へ向けるのです。

思う存分楽しもう!ただし安全に

まとめ

 最後になりますが、ここまで私自身の事故の歴史を振り返って思うことは、スキーでも自動車でも「事故を起こす人は何度でも起こし、起こさない人は一生起こさない」ということです。そして事故防止のための私の提案はすでに書いたように「自分のタイプを自覚すること」です。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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