新宿店のメールマガジン

2000年頃。ちょこちょこ短期留学を繰り返していた私は、諸外国での漢字ブームを垣間見た。

キャップやピン、Tシャツに漢字が書かれているものが多く販売されており、漢字クールじゃん!から少し発展して平仮名、カタカナを含む日本語クールじゃんあたりまでいってたと思う。

起用される言葉は、凡そ①ミーニング重視型、②見た目重視型、③それらのハイブリット型に分類でき、その漢字を使うのか?!と驚いたものも多々あった。

③ハイブリッドの典型例としては「愛」が挙げられる。 画数多めで見た目麗しく、全人類の心に宿りしloveを意味に持つ最強の漢字である。
①ミーニング型の典型例は「信」。画数やバランスはそれほどでもないが己の信念を冠しておきたい人に人気の様子だった。
②見た目重視型としては、KFCの回し者か熱狂的鶏肉ファンか、干支でもない限りなかなか選ばないと思われるが確かに字としてみた時のバランスはいい気もする「鶏」や、某テーマパークの回し者なのかトムとなんちゃらのファンなのか。やっぱり干支か?でもその売り場に十二支揃ってなかったし干支じゃないと思う。動物好きなのかな?字としての魅力は…私には走ってる昭和の漫画キャラにしか見えないんだけどな…と思える「鼠」がある。
漢字1文字のみならず熟語なども散見された。「桃源郷」などは③ハイブリッド型に近く、「管理指定区域」などは②に属すると思われる。

そこでタイトルの「新宿店のメールマガジン」である。

これはイギリス、ロンドンに行った時に若者向けシャレオツ洋服店で見つけたTシャツに書かれていた。

胸元ドーンとロゴでの採用ではなく、丸ゴシック体くらいのポップなフォントで新宿店のメールマガジンが散りばめられた総柄。新宿店のメールマガジンまみれの服。


言葉の意味がわかる者からすると、「どこの?」と「なんで?」の二重奏が遅滞なく脳内を駆け巡るシロモノだった。なのに現地のブロンド美女はオークールゆうて物色している。

漢字とカタカナや平仮名のミックスがクールさをガン上げしてる可能性もあるが、それなら「イナゴの佃煮」でも「グスコーブドリの伝記」でもいいわけである。なのに、あえての新宿店のメールマガジン。

若者向けシャレオツの聖地原宿でもなく。ギャルの聖地渋谷でもなく。高級ブティック立ち並ぶ銀座でもなく。なんとなくニュートラルさを感じる新宿店の。念の為そのブランドに「新宿店」がないか確認したが、なかった。どこから湧いたワードなんだろう。

意味にとりあえず目をつぶったとして、字面のオシャレ感だけを見ても、そうオシャレとはいえないんじゃないか?なんなら「牡蠣フライ」くらいの方がオシャレじゃないか?個人的には「青天の霹靂」あたり中二病感と相まって超かっこいいと思ってるよ。

多分デザイナーがどこかの服屋のパンフレットなのか店内の案内なのか、とりあえず目について「これもーらい」と起用したんだろうけど、これを起用した理由があまりにも腑に落ちない。美的センスの違いといったらそこまでなんだろうけど、あまりに意外すぎて世界の広さを痛感した。


自分と違う感性に触れることは多様性を受け入れるベースとなる。私はこのダイバーシティが叫ばれる時代を、新宿店のメールマガジンを盾に生き抜いていこうと思う。

おわり。


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