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わたしの本棚

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わたしが読んできた本の感想をまとめています。週1〜2回の更新です📚本好きの方、小説をよく読まれる方、ぜひ覗いてみてください♪
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#加藤シゲアキ

読書|なれのはて

最後のページを読み切った後、ふぅ…と漏れ出る吐息。読了後の充実感と壮大なストーリーが終わってしまった寂しさが、胸に広がりました。 「加藤シゲアキの第2章としてのスタート」のキャッチコピー。これまでの彼の作品を遥かに超えていった一冊は、読んで悔いなし、出会えてよかったと思える物語でした。 本書では、扱うテーマが多岐に渡ります。戦争・報道・著作権・家族・石油…。それぞれのテーマを貫くのが、無名の画家の絵でした。 報道の第一線で活躍していた守谷京斗は、ある事件をきっかけに、イ

読書|Burn. -バーン-

天才子役が脚本家に転じた。幼きレイジは、誰と出会い何を感じて、人生の方向性を転換させたのだろう。 大人が求める演技を難なくこなしてしまうレイジ。周囲は褒め称え涙するけれど、彼は自分の心を動かしていないからこそ、役者でいられるのでした。 「右向け右」と機械のように演じていた日々に、変化が訪れます。それは、ホームレスの徳さんとオカマのローズとの出会いでした。 徳さんのマジックに驚いたり、ローズと部下の感動的な別れを目の当たりにしたり、レイジは少しずつ本物の感情に触れています

読書|傘をもたない蟻たちは

独特な世界観で集まっている短編集。どれもこれも面白かったけれど、私の心に一番残っているのは「イガヌの雨」です。以下、ネタバレを含みます。 イガヌほど美味しいものはない!栄養満点で舌も心も満たされる、素敵な食べ物。イガヌ不足でもうこの味を楽しめないなんて、ありえない…。 はて、”イガヌ”とは何か。物語は、イガヌという夢のような食材が中心となっています。目が三つもある動物で、胴体や腕はない、猿のような頭と足だけの生き物です。エイリアンのようで気持ち悪いですよね。 そんなイガ