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明石プライドパレード2020 - 2020年11月15日(日)/兵庫県明石市

2020年11月15日(日)、兵庫県明石市で行なわれた『明石プライドパレード2020』の記録

 来年(2021年)1月に「同性パートナーシップ証明制度」を導入する方針の明石市で、昨年に続き第2回目となるレインボーパレードが開催され、68名が明石駅の周辺を行進した。
 感染症対策として、マスク着用の上ソーシャルディスタンシングを保つことが呼びかけられ、「兵庫県新型コロナ追跡システム」に登録することが参加者に義務づけられていた。
 パレード出発前の集会には、明石市で「パートナーシップ制度」等のLGBT施策を進める泉房穂・明石市長が参加し応援スピーチを行った。

(※『明石市パートナーシップ・ファミリーシップ制度』について追記あり:2021.1.10)

【動画】

明石プライドパレード2020 - 2020.11.15 兵庫県明石市(4分47秒)

【写真】

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【主催者 挨拶】
今年もですね、この場所に皆さんといられることにとても感謝しています。
今年も街の中に届けるメッセージは「わたしたちはここにいます」です。
この広場からスタートして、この広場に笑顔で戻ってきましょう。以上です。ありがとうございました。
(「ソラニジ・アカシ」かよさん)

プライドを持って歩きましょう。一緒に今日一日楽しみましょう、という思いは、ここに来ていただいてるみなさん、同じやと思います。
でも、僕がいつも思うのは、ここに、本当に何かしらの理由で来れなかった、来たくても来れなかった、コロナ禍で控えておきたいていう気持ちもあったり、ここにいなくても、僕たちのことを、本当に、LGBTQ全ての皆さんを応援してくれてる当事者であり、周りの人々がいるということで、その人たちの気持ちを持って皆さんも歩いていただいて、その人達のぶんも楽しんで歩いていただけたらと思います。
あと、去年も何ヵ所かで見受けられたんですけれども、沿道で見てくれ、パレードには参加しないけど、沿道で応援しに行きましたっていう方が手を振ってくれたりすることがありました。是非そういう方を見つけて、手を振り返したりしていただいたらと思います。
僕は言いたかったのはそれです。
(「そらにじひめじ」だいすけさん)
【「そらにじ京都」 挨拶】
今年の2月に「そらにじ京都」っていうのを立ち上げました。
ほんとにね、「ソラニジ・アカシ」さんや、「そらにじひめじ」さんを見てやってみたいなという気持ちがあったので、今回思い切ってやってみようかなと思いました。
一人では絶対無理なんで、これからも皆さんのご協力とか必要なので、これからもよろしくお願いします。
(やよいさん)

来年の4月4日に、京都の河原町でレインボープライドパレードできることになりました。
このレインボーパレード、京都でさせていただくんですけど、京都だけのものでもないですし、我々のだけのものでもないです。全ての方のものなので、是非一緒に参加していただいて、ご協力いただければ、とてもとてもとても助かりますので、よろしくお願いします。
今日参加して、その4月4日に何かちょっと勉強になればなということで、持って帰ろかなと思ってますんで。
京都、これからもよろしくお願いします。
(ロイさん)


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 このパレードを主催している「ソラニジ・アカシ」は、青森市のコミュニティカフェ&バー「Osora ni Niji wo Kake Mashita(通称:そらにじ青森)」に触発され、同じ名前で明石市で活動を始めた。
 今回、その「そらにじ青森」からリモート参加でのサプライズ・スピーチがあった。青森からのメッセージが、携帯電話を繋いだスピーカーから流された。

【「そらにじ青森」からのサプライズ中継】
明石、この大変な中、なんとかパレード開催ということで、本当におめでとうございます。
新型コロナの影響で今年は開催できるのかなとか、うちら、青森も今年はオンラインということで開催ができなかったんですけれども、なんとか明石がやっているってことを一つの希望にして、また来年に向かって歩んでいけたらなと思っています。
今日はそちらに、今年は伺えなくて本当に残念なんですが、同じ空の下、一緒に歩いている気持ちでいます。
(岡田実穂さん)

第2回明石のパレード、おめでとうございます。
新型コロナがまだ大変な中ですが、こうして集まってくれた一人一人の勇気や思いが、明石を支えていくことになると思います。
地域は離れていますが、いつも心は共にという気持ちでいます。今日は楽しんで歩きましょう。
(宇佐美翔子さん)

(考えてみれば、今までもこの方法で簡単に遠方からスピーチができたはずだが、これまで電話中継という手段がとられることはなかった。コロナの影響で、世の中にリモートという選択肢が広がり認識され、あっという間にそれが一般的になった。今はもうなんの違和感も感じない。こうして集会でもリモートでスピーチが行われるようになった。)


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【泉房穂 明石市長 挨拶】
本日は明石市内のみならず、市外からも本当に多くの方、お越しいただいていると思います。まず明石市を代表して歓迎の言葉を皆さんにお伝え申し上げたいと思います。
また、昨年に続いて、こういったコロナの中においても、本日このような形でパレードができますことを心から本当に敬意と感謝の思い、そして連帯のメッセージを皆さんにお送りしたいと思っております。
私といたしましては、このテーマについてはしっかりとやっていきたいと、そういった思いの中で、昨年、全国公募という形で、今年2人の方に明石市の、正にこのテーマの担当になっていただき、今、来年1月に新しい制度スタートに向けて、ちょうど正に、最終的な調整をしてるところであります。
全国的に見ればどんどん広がっており、明石市としては決して早い部類ではありませんけれども、ただ強い思いを込めて、しっかりとやっていきたいと思います。
その際に特に意識したいことは大きく二つあります。
一つは、このテーマはいわゆる少数者の人権というふうなことにとどまることではなくて、全ての人の生き方の問題につながる、自らをどのように生きていくのか、自らをどのように表現していくのか、そして誰を好きになるのかならないのかも含めて、それぞれの人の生き方の問題が問われている、そういったテーマだと思っております。
そしてもう一つは、優しい社会を明石からと言い続けておりますが、まさにこのテーマもまちづくりそのものであり、医療現場や教育現場、そういった個別テーマにとどまることなく、街そのものがお互いに認め合う、そういった街を作っていくことだと、そのように思っております。
長くなってしまいましたが、明石市長としても、しっかり皆さんと気持ちを一つにして、これからも共に頑張ることをお約束申し上げ、私からの連帯の挨拶といたします。
これからも共に頑張りましょう。ありがとうございました。

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 昨年も「明石プライドパレード」へメッセージを寄せた明石市長、今年はパレード出発前の集会に参加しスピーチを行った。ピンク色のネクタイを着用してくるほどの気合の入れようで、来年は一緒にパレードを歩きたいとのことだ。


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 明石公園東芝生広場に集合した人々は、ソーシャルディンスタンシングをとりながら集会を行い、パレードへと出発した。


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 背負子(背中のキャリア)に搭載したスピーカーから音楽とマイクのアナウンス音声が流れ、参加者がシュプレヒコールをあげたり、大きな声を出したりすることはなかった。もともとレインボーパレードは、何かを叫んだりすることは少なく、街頭行動の中でもやりやすいジャンルに位置しているように思う。


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 毎年11月20日は「トランスジェンダー追悼の日」で、この日までの1週間は「トランスジェンダー認知週間」とされている。
 ちょうど、トランスジェンダーのウィーク中に開催された「明石プライドパレード」では、その思いも込めて歩いていきたいとの意見が表明された。パレードの隊列の先頭と後尾には「水色・ピンク・白・ピンク・水色」というカラーリングのトランスジェンダー・プライドフラッグが2本掲げられていた。


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 明石公園東芝生広場を出発したパレードは、JR明石駅の北口を通過し、明石港方面へと南下、本町2丁目を通行し、2号線を東へ進んで明石銀座通りへ、明石焼きで有名な「本家きむらや」を目前に折り返し北上、JRの高架下を抜け、出発地の公園へと戻る約2.5kmのコースを1時間かけて練り歩いた。


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[追記:2021.1.11]
 2021年1月8日に『明石市パートナーシップ・ファミリーシップ制度』が兵庫県明石市でスタートした。
 市の広報課は「届出者の戸籍の性別やSOGIE(性的指向・性自認・性表現)を問わず、パートナーシップ関係にある2者(子どもを含む場合も合わせて)を公に証明する制度」という表現を使って制度を説明している。
 全国70以上の自治体で既に導入されている、結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ制度」だけでなく、届け出た二人と共に暮らす子どもを含めた関係性を表す「ファミリーシップ制度」も含んだ、全国初の画期的な制度が明石市で開始された。

明石市パートナーシップ・ファミリーシップ制度
https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/sdgs/partnershipfamilyship.html

制度の概要

互いを人生のパートナーまたは家族として尊重し、継続的に協力し合う「パートナーシップ関係」であることを表明した2者が市に届出をし、市がその届出を受理したことを公に証明する制度です。届出者の戸籍の性別やSOGIEは問いません。
なお、2者のほかに家族として暮らしている子ども(未成年)がいる場合で、子どもを含む家族の関係を届け出てもらった場合には、合わせて証明します。パートナーシップ制度は、法律上の婚姻とは異なるため、届出をしても法律に基づく権利・義務は発生しませんが、様々な場面での実質的な効果を伴うよう整備するほか、より効果を高めるための取組を合わせて実施します。
また、制度実施後も事業者や関係団体と連携しながら制度の趣旨を浸透させ、より効果が高まるまちづくりを進めていきます。

 パートナーシップ制度には法的な効力はないが、市が様々な関係機関への働きかけや調整を実施することにより「医療機関で家族として対応」「市営住宅に家族で入居可」「市営墓園の使用・承継」「犯罪被害者等遺族支援金等の給付」「住民票の続柄を「縁故者」に変更可」「明石市職員の結婚祝金の支給や結婚休暇等の取得(予定)」というような効果が発生する。
 また、明石市はこの制度の効果をより高めるために、「制度利用者を対象とした公正証書取得費用の助成」(相互に後見契約をして、それぞれがお互いの「後見人」となり、二人の関係性を一定法的なものとして証明する効果を得ることができる)や「県内他自治体との効果面における連携」が実施される。

 制度の詳細はガイドブックに詳しく掲載されているのでそちらを読んで頂きたいが、以下にいくつかの項目を引用しておく。

明石市パートナーシップ・ファミリーシップ制度ガイドブック
https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/sdgs/documents/pfguidebook3.pdf

2 明石市パートナーシップ・ファミリーシップ制度とは

互いを人生のパートナー又は家族として尊重し、継続的に協力し合う「パートナーシップ関係」・「ファミリーシップ関係」であることを表明した2者が市に届出を出し、市がその届出を受理したことを公に証明する制度です。届出者の戸籍上の性別やSOGIEは問いません。
なお、2者のほかに家族として暮らしている子ども(未成年)がいる場合で、子どもを含む家族の関係を届け出た場合は、あわせて証明します。
パートナーシップ・ファミリーシップ制度は法律上の婚姻とは異なるため、届出をしても法律に基づく権利・義務は発生しませんが、より効果を高めるための取組を合わせて実施します。
また、制度実施後も事業者や関係団体と連携しながら制度の趣旨を浸透させ、より効果が高まるまちづくりを進めていきます。

9 Q&A
Q.パートナーシップ・ファミリーシップ制度と婚姻制度はどう違うのですか?
婚姻は法律に基づき行われるもので、相続など財産上の権利や扶養義務など、法律上の権利や義務が発生します。
一方、明石市が行うパートナーシップ・ファミリーシップ制度は、市が独自に実施するものであり、法的な権利の発生や義務の付与を伴うものではありません。
Q.届出を行えるのは同性同士のみですか?
互いを人生のパートナー又は家族として尊重し、継続的に協力し合う「パートナーシップ関係」・「ファミリーシップ関係」である2者であれば、どなたでも届出可能です。届出者の戸籍上の性別・SOGIE(性的指向、性自認、性表現)は問いません。
Q.養子縁組をしていますが、届出できますか?
養子縁組によって近親者となった場合は、届出できます。
Q.同居していないと届出できませんか?
必ずしも同居している必要はありません。
ただし、お二人が互いを人生のパートナー又は家族として尊重し、継続的に協力し合う関係であることが必要です。
また、少なくともどちらか一方が明石市にお住まいになっているか、転入によって明石市にお住まいになる予定であることが必要です。

 明石市では、2020年4月にLGBTQ+/SOGIE施策担当を2人採用し、この制度の導入に大きな役割を果たした。その細やかな配慮は実施要綱にも表れているので、軽く触れておきたい。
 制度説明の中で繰り返し出てくる「SOGIE」など用語について、通名の使用について、市長の義務等について書かれている部分を以下に掲載しておく。

明石市パートナーシップ・ファミリーシップ制度実施要綱
第2条 この要綱において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる
(1) SOGIE 性的指向(恋愛感情又は性的欲求の対象となる性別についての指向をいう。)、性自認(自己の性別についての認識をいう。)及び性表現(服装や髪形等自己の性別についての表現をいう。)の総称をいう。
(2) パートナーシップ・ファミリーシップ 互いを人生のパートナー又は家族として尊重し、協力し合う継続的な2人の関係をいう。
第10条 この要綱に基づく届出その他の手続には、戸籍上の氏名と併せて通称名を使用することができる。
第12条 市長は、この要綱の趣旨にのっとり、すべての市民が、SOGIEにかかわらず、安心して、ありのままに暮らすことができるまちの実現を目指した施策を行わなければならない。
第13条 市長は、市民及び事業者が受理証明書の交付の趣旨を理解し、すべての市民が、SOGIEにかかわらず、その社会活動の中で最大限に尊重され、公平かつ適切な対応が行われるよう制度の周知に努めるとともに、アウティング(本人のSOGIEを、本人の同意なく第三者に漏らすことをいう。)に関する理解の啓発に努めなければならない。
https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/sdgs/documents/pfyoukou.pdf


H A P P Y  P R I D E ! !



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