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小池百合子は9月1日に追悼文を送れ都庁前スタンディング - 2020年8月22日(土)/東京都新宿区

2020年8月22日(土)、東京都新宿区(東京都庁前)で行われた『0822追悼文を送れ都庁前スタンディング + Twitterデモ』の記録

 9月1日の『関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典』を目前にした日曜日の夜、小池百合子東京都知事に対する抗議が都庁前で行われた。
 今回のアクションは、新型コロナの感染状況を鑑みて、ソーシャル・ディスタンシングに配慮してサイレントスタンディングという形で行われ、同時にウェブ上でハッシュタグを使ってのTwitterデモが行われた。

 小池都知事は、歴代都知事が送り続けてきた『関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典』への追悼文を今年も送らないことを8月7日の定例記者会見で表明した。送らない理由として、「すべての犠牲者に哀悼の意を示しており、個別の追悼文は控える」と都知事は言う。
 震災による犠牲者と震災を生き延びた後に虐殺された犠牲者を同列に扱っていいはずがない。これは差別に基づく朝鮮人虐殺の被害を矮小化し、犠牲者の尊厳を貶める行為だ。


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はじめの挨拶 書き起こし(主催者 C.R.A.C. 谷口岳さん)
小池百合子都知事に、9月1日の『関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典』に追悼文を送ってくれということを訴える、そういう趣旨のサイレントスタンディングです。
この問題も、たくさんいろんなところで説明しつくされていると思うのですが、簡単に僕の方から振り返りとして、もう一度、話させて頂きます。
関東大震災の時に、多くの朝鮮人が差別と、差別に基づく暴力によって虐殺されました。墨田区横網町公園で、その虐殺された方々の追悼式典が9月1日毎年行われています。
歴代東京都知事は1974年、美濃部都知事の時から、この追悼式典が始まった時から、都知事として追悼文を送るということをやってきました。
ですが、2017年から小池百合子都知事が、この追悼式典に追悼文を送らないという、そういう非常に失礼で無責任な行動をとっています。そのことに抗議し、追悼式典に追悼文を送るようにということを、今、私たちここで求めています。
小池都知事は、追悼文を送らないっていうことに対して、どういう説明をしているかというと、「全ての方に対し追悼をしている」と。つまり、関東大震災で亡くなった方を追悼するというところに、虐殺で亡くなった方も含めて、自分はそこで一緒に追悼していると言ってるんですね。ですから、どう考えてもこれ間違ってます。これは植民地主義からずっと続いてきている、朝鮮人に対する差別感を現代に至ってもなお、上塗りする行為です。
小池都知事本人が、どの程度差別心を持っている人なのか、僕はわかりませんが、東京都という、この大きな首都東京都という自治体の首長として、関東大震災朝鮮人犠牲者に対して追悼文を送らないというのは、あまりにも誠実さを欠いていて、無責任な行為だと思います。
このことをずっと私たち訴えてきましたが、8月7日に定例記者会見で、小池都知事は今年も追悼文を送るつもりはないという意思を示しました。その際に、なんて言ったかっていうと、「毎年送らないことにしているから」っていう言い方をしたんですね。毎年送らないことにしたのは、歴代の都知事ではなくて小池さんになってからです。小池さんが自分の意志で送らないことにしたのであって、都知事として毎年送らないことになってる、っていうような言い訳は通用しません。あまりにも無責任で、誠実さを欠いている。
そして、関東大震災朝鮮人虐殺っていう言葉の中に、どれだけの人の命がその中に含まれているのかということを、とても軽視した発言だと思います。一人ひとりの命があるんです。そして問題になっている「そよ風」の偽の慰霊祭でも、6000人という数字が間違っているからっていうことを根拠にしていますが、だったら何人だったら虐殺なんですか。一人でも虐殺は虐殺ですよ。差別によって殺された人がいる。それはもう虐殺なんです。本当にこういった歴史修正主義者たちのとんでもない言い訳、そんな話が通るわけがないのに、6000人っていう字が間違ってるから虐殺として認めないっていうような、そんな欺瞞を許すわけにはいきません。
今日はこういうふうにたくさんの方に、サイレントスタンディングという形で集まって頂きました。今から20時までの予定にしています。Twitter上で、「 #小池百合子は9月1日に追悼文を送れ 」というハッシュタグで、Twitterデモを同時にして頂いています。ですので、ここでサイレントスタンディングしている方もぜひTwitterして頂けたらと思います。
それから今日は、サイレントスタンディングということにしましたので、特にスピーチなどを予定していません。報道の方がたくさん来て頂いて、注目して頂いて本当にありがとうございます。ぜひですね、参加者の皆さんそれぞれいろんな思いを抱いて、いろんな立場でここに立っていると思いますので、皆さんもし可能であれば、取材に対して自分の声を届け、取材の方に話を聞いて頂いたりというような機会が作れればいいんではないかと思っています。
再度言いますが、今日は、小池百合子は都知事に9月1日関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に追悼文を送れ、という趣旨のサイレントスタンディングです。では今から、しばらく僕もマイク置きます。このまま皆さんそれぞれの思いでスタンディングして頂けたらと思います。よろしくお願いします。


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おわりの挨拶 書き起こし(主催者 C.R.A.C. 谷口岳さん)
やっぱりこういうふうに、実空間に集まって頂いて、こういう形で抗議ができたこと、とても良かったと思いますし、集まって頂いて心強かったです。ありがとうございます。少し話します。
東京都が作った条例の名前をもう一度言いますね。『東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例』、長い名前ですけど、でも良い名前の条例だと本当に思います。人権尊重の理念っていうものを、東京都がこの条例を持つことで掲げることができました。やっぱり、そうなるとこの条例をちゃんと使って欲しいっていう話なんですね。
この条例は、東京都の中で総務局人権部というところが担当になってます。で、今問題になっている、9月1日の『そよ風』の偽の慰霊祭、これは都立公園ですので、都に公園の占用許可を取るという形で行われます。この占用許可っていうのは、別の部署なんです。建設局公園緑地部管理課っていうところです。そうなるとですね、公園の占用許可を取る部署と条例を担当してる部署がお互いに連絡を取り合わなきゃいけないという話になるわけです。先日来、東京都に皆さんから意見や抗議を届けて欲しいっていう呼びかけをさせて頂きました。その中にそれぞれの担当部署の電話やメールアドレス書かせて頂いたんですが、これは今言った公園の占用部署、それから条例の担当部署、それぞれの宛先でした。
この条例の中に、利用制限っていうものがあります。要は、条例に基づいて公共の場所に対して利用制限を求めることができるっていう条文があります。この利用制限、ちょっと読みますね。「以下2つの要件を両方満たした場合に、利用制限を行うことができるものとする。」、1番が「ヘイトスピーチが行われる蓋然性が高いこと。」、2番が「ヘイトスピーチが行われることに起因して発生する紛争等により、施設の安全な管理に支障が生じる事態が予測されること。」。つまりですね、ヘイトスピーチが行われるっていう蓋然性の予測がつくっていうことと、もう一つヘイトスピーチが行われることに起因してその施設が安全な管理ができない状態になる、この二つの条件を満たしたら、東京都がその公的な場所の利用に対して制限をすることができる、条例にこう書かれています。
まず1番の「ヘイトスピーチが行われる蓋然性が高い」かっていうこと。8月3日にこの条例に基づいた審査会で、『そよ風』の昨年の9月1日の偽の慰霊祭の中で、ヘイトスピーチが行われたという認定が出ました。去年ヘイトスピーチが行われたってことを東京と認めたわけです。去年ヘイトスピーチが行われたその場所で、同じ団体が今年も全く同じ名目でイベントを企画している。普通に考えると、「ヘイトスピーチが行われる蓋然性が高い」っていうふうに思うのが当然なんじゃないかと思います。
2番目、「ヘイトスピーチが行われることに起因して発生する紛争等により、施設の安全な管理に支障が生じる事態が予測されること」。これ、昨年ですね、カウンター側と『そよ風』の側の間で、多少衝突がありました。そのことを思って東京都は、今年は誓約書の問題、いろいろなことを言っているわけですけれど、それ以前にですね、よく考えてみると、警視庁があれだけの数を導入して、横網町公園で警備をするっていう事態になってます。なんで警備をしなきゃいけないのか。安全が確保されていないから、だから警察はああやって警備をしているって考えるのが普通じゃないですか。警察が警備をしている時点で、「施設の安全な管理に支障が生じる事態」が既にもう起こってるんじゃないでしょうか。
そう考えると、この利用制限の為の要件、1番、2番、既に満たしているんですね。僕はそういうふうに解釈しています。ということは、この利用制限を有効にすることができるはずだと思います。この条例では、利用制限をする為には審査会を開かなきゃいけないんですよ。都の職員が勝手に決めることはできないんです。それは、外部の審査会で中立的な客観的な判断をしなきゃいけないからなんですね。そのために、あと一週間あります。東京都にはぜひですね、審査会を開いて、『そよ風』に対して公園の占用許可を既に出しているのであれば、一旦出した占用許可を取り下げることもできるというふうに条例には書いてあるんで、審査会を出して、この占用許可を取り消して欲しいと思ってます。
そのためにも、ぜひTwitterなどで呼びかけているように、皆さんからも、この利用制限の要件に既に該当するんじゃないかっていうことを東京都に抗議、意見として伝えて頂けたらありがたいというふうに思ってます。
東京都の人権部、それから建設局、それぞれに対して、このひと月の間、何度も僕電話をして担当者と話をさせて頂きました。正直、そこで返ってくる答えというのは、非常に、なんて言うんでしょう、生ぬるくですね、理屈にならない理屈で逃げているような、そういう返答が多いんですね。例えば、人権部の方に、「条例の中にヘイトスピーチが行われたっていうことを公表し適切な措置をとるという条文があるんですけれど、適切な措置をとってないんじゃないか」っていうふうに僕訴えたんです。そうすると人権部の方は、「適切な措置っていうのは、ヘイトスピーチが行われたよっていうことを公表したことで満たしてる」というような言い訳をされてました。そうすると何のために条例ができたのか。ヘイトスピーチが行われましたよ、っていうことを皆さんにお伝えするためだけに条例があるわけじゃないわけです。何のために公表するかというと、ここから先、未来にヘイトスピーチが行われないようにする為に条例があり、行われないようにする為に過去のヘイトスピーチが認定され、公表されてると思うんです。ですので、「その理屈はちょっとおかしいんじゃないの」っていうふうに人権部の方に話をしました。そうすると、その方は「条例の趣旨というのは啓発だ」っていうふうに言いました。「ただ啓発する為だけに、この条例が作られた」っていうふうに東京都の担当部署の職員の方が言うのは、どう考えてもおかしいです。条例の条文をホームページで皆さんも読んで頂きたいんですけれど、これは本当にすべての人の人権を尊重する、そういう都市を作る、それはオリンピック憲章に書かれているものと合う形で、東京都もオリンピックをやるにふさわしい形の街にするっていう宣言なわけです。とてもこんなことでオリンピックがやれるとは思えませんし、せっかく作った良い条例が、本当の意味で生きた条例として運用していくことができるとは思えません。
今の利用制限のところを読んでも分かるんですが、それぞれの担当部署がお互いに情報交換をしないと成り立たない仕組みになってるんですよ。ですが、どういう連絡を取ってるかっていうことを聞くと、「公には情報共有してない」だとか、「公には言えないけどちょっと話を聞いてる」とか、いろんな言い方をされるんですね。これも本当に、おためごかしで情けない話だと思います。
やはり、せっかく作った条例を生かすためには様々な担当部署がお互いに連絡を取って、とにかく何の為に条例が作られたかっていうと、差別をなくす為なんですよ。だから、差別をなくす為に、この条例をうまく運用して頂きたいと思います。皆さんにももちろん、そういった声を東京都に届けて頂きたいというふうに思ってます。
小池都知事は、そういった表向きは良い条例を、オリンピックを掲げることで作ったわけですから、やはり条例を作った趣旨に従って、その条例をちゃんと運用し、実際に実現しなきゃいけないのは、条例をうまく運用することではなくて、差別がない東京を作ることなんですよ。それが一番の目的のはずなんです。そのためにこの条例は作られたので、それに沿った形できちんと都知事として働いて頂きたいというふうに思います。
話題少し変えますが、現代書館から『<普及版>関東大震災朝鮮人虐殺の記録――東京地区別1100の証言』っていう、関東大震災虐殺の聞き書き、その他を集めた証言集が、普及版という形で先日発売になりました。僕も元々の分厚い本、図書館で拾い読みするっていうことはしてたんですが、自分では手に入れてませんでした。この本、せっかく普及版が出たので、買って昨日届いて、昨日家で1日拾い読みしてみました。その中で本当に驚くんですけれど、当時の東京の住民たちというのは、デマに弱いんですよ。みんなデマに騙されている。煽られて、全く根拠ないデマを聞いて、大変だっていうので竹槍だ鉄砲だっていうの集めて自警しようっていうことしている。
なんでデマに弱いのかっていうことは正直わかりませんけれど、一つには植民地支配からくる、朝鮮人、中国人、その他のアジアの人に対して、見下した気持ちを日本国民は当時持っていたんです。そういう気持ちがベースにあるので、何かあった時に、やり返されるんじゃないかというような危機感を持ってしまったんじゃないかというふうに、これは想像します。それは、暴れる朝鮮人が悪いんじゃないんですよ。そういうふうにデマに流されてしまう差別心を持っていた、日本人の方の問題なんです。じゃあその日本人、差別心を持っていた彼らが、悪質な差別主義者だったのかというと、それもまた違うんです。普通の日本人です。普通の市井の市民たちなんです。普通の人たちが、当たり前のように差別心を持ち、それを共有し、デマに流される。その挙句、暴力を起こし、たくさんの人を虐殺するっていう事件を起こしたわけです。そして残念なことですが、その普通な市民っていうのが、脈々と流れていて、今現在の私たちなんですよ。差別をなくすっていうのは、結局そういった、それぞれが持っている差別心を克服して、社会でそれを共有していくっていうことをしない限りは差別はなくならないんじゃないかと思います。構造的な差別っていうものも、当然無くさなきゃいけないですし、それぞれの内心の中にある差別心っていうのも無くさなきゃいけないと思います。どっちが先っていう話ではなく、両方に取り組んでいかないといけないんだと思います。
結局、こういった形のことを続けていれば、悪質な差別主義者たちがそれを餌にして、どんどん増殖していくわけです。デマを意図して流す人たちが現れ、それに気付かずに乗っけられていく人がどんどん増えていく、この悪循環のサイクルをどこかで断ち切っていかないといけないと思います。そういったことに繋がるアクションとして、今日のこのサイレントスタンディングもさせて頂きました。本当に長い時間皆さんお付き合い頂きありがとうございました。
9月1日、静かな形で、本当に追悼という言葉が、言葉の意味の通りに、皆さんそれぞれ持てるような環境がある中で、9月1日を迎えたいと思いますので、あと1週間できるだけのことをやっていきたいと思います。特に東京都に電話、メールなどで、さっき話したような形で、利用制限を求めるっていうようなことが、具体的に訴えられると思いますので、最後まで諦めずにやっていきたいと思います。
今日ハッシュタグで、Twitterでもデモをして頂きました。たくさんの方が関心を持って頂いているというふうに思ってます。とても心強いと思います。たまたま今日、僕真ん中に立ってますけど、誰がやってもいい抗議の声なので、皆さんそれぞれの場で、皆さんのやれることで引き続き頑張っていけたらいいなというふうに思います。
最後になりますが、9月1日に、「 #私は追悼します 」っていうハッシュタグで皆さんそれぞれの想いの追悼メッセージをツイートしませんかっていうふうに、今日、『朝鮮人犠牲者を追悼する有志』という形でご提案頂きました。9月1日に「 #私は追悼します 」というハッシュタグでツイートを、皆さん、ぜひやって頂ければと思います。よろしくお願い致します。


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