井上芳雄さん:最大級の衝撃
昨年予定が合わず観劇が叶わなかった、「ムーランルージュ ザ・ミュージカル」を観てきた。
観劇のきっかけはなんてことなく、チケットが手に入って(人気演目は激しいチケット争奪戦が繰り広げられる)、閉館間近の帝国劇場に行けるチャンスだといった程度のことだった。
ところが、思いがけずここで私はこれまで観劇してきた中でも最大の衝撃を受けることとなった。
井上芳雄さん。ミュージカル界を牽引し続ける彼のことは、ミュージカルファンなら誰もが知っていると思う。
ただ私は、偶然にも彼の出演作を拝見したことがなかったので、ムーランルージュで初めてそのとてつもなさを目にして、衝撃を受けた。
歌やお芝居の技術、スター性はもちろん、深みのようなものを感じた。彼が人生で経験してきたことや見聞きしてきたこと、その酸いも甘いも全て自分ものにしたからこそ出てくる深み…。彼のことをよく知っているわけでもないのに、そんな印象を受けた。
実はムーランルージュの東京公演が終わって一週間以上経つのだが、衝撃があまりに強かったために、noteを書くのに時間がかかってしまった。書こうとしても、まるで魔法にかかったみたいに、ぼーっと、あの衝撃を反芻してしまう。こればっかりは、きっと劇場で観ないとできない体験だろう。
こんな人間が存在するんだ、とまで感じてしまった井上芳雄さんとの出会い。これからももっとこんな出会いがあればいいなと願ってしまう。