見出し画像

自然の中から面白さを見つけるということ

3月9日-10日にボーイスカウト東京港第12団で班キャンプを実施しました.

奨学金の式典から移動してからの参加であったため私が実際に参加したのは全体の半分でしたが,私としては初めてのキャンプということがありワクワクしていました.
それに対してスカウトらの落ち着きようといったら...…どっちが子どもかわからなくなります.

それにしても夜は寒かった...…
途中で疲れて寝落ちしてしまったのですが,寝落ちするまでが本当に寒かった,というより凍えていましたね.
朝早く起きて散歩しているとテントの周りの土に霜柱が広がっていてざっくざく踏むのがとっても楽しかったです.
都会だとなかなか霜柱を気が済むまでざっくざくすることができないのでとっても楽しかった.(子供か.)

このキャンプでとても印象的だったのはスカウトらが起床してからのこと.指導者のテントにやってきたスカウトがコップにペットボトルからコーラを注いだとき「凍りました!ボトルの中では凍ってなかったのに!」と驚いて声をかけてきた.

この現象...…そうです,菅谷が高校生のときに毎日のように見ていた「過冷却」の現象ですね.
あのときは,コップに入ったコーラではなく,小さな試験管に入った酢酸ナトリウムとチオ硫酸ナトリウム等々の溶液を見つめていたのですが.
あまりにも化学室内で起こしている反応「過冷却」というものに慣れすぎて,そういえば自然でも見られるんだったわと自分でも一瞬思考が飛んでいました.

確かに気が済むまで霜柱をふみふみできるぐらい夜はとても冷え切っていて,ある程度の量のコーラが入ったボトルはずっと机の上に置いていたので刺激を加えられることなく不安定ながらも液体の状態を維持できる.
まさに過冷却の現象を見るにはぴったりの条件がそろっていた.

理科の実験イベントでも簡単かつ驚きがあり,人体に悪影響をあまりもたらさない(水や飲料なら口に含んでも大丈夫だし,酢酸ナトリウムやチオ硫酸ナトリウムを使うときにはやけどに気をつければ...…というところ)として鉄板ネタとなってきた過冷却現象の実験ではありますが,人に仕込まれて作られた実験よりは自然が勝手に準備して勝手に始めてくれる実験ショーの方が断然驚きがあって面白いよなと思いました.(もちろん人が作っている実験ショーも好きですが.)

知識さえあれば身の回りを見渡すだけで楽しめるというのは昔々から言われていることでありますが,改めて今回のキャンプでこのことに気づかされました.
私が口癖のように言っている言葉に「自分の頭を使って考えろ~」もありますがその次ぐらいに「面白いもんを面白いと感じられるように勉強しようか」という言葉があります.
世の中には面白いもんがたくさん溢れている.きっと自分が認知できないところにもある.ものが散乱した自分の机の上にも面白いもんが積み重なっている.
ただ,それを知識として持っていなければ” ”として通り過ぎてしまう他ないのだ.

大学の授業中にぼそっと「こんなん勉強してどうなるんだよ」という声が聞こえることがある.
心底かわいそうだと思う.
折角あとちょっとで面白いものが見られるように丁寧にお膳立てされているというのに.

スカウトらは私よりずっとキャンプの経験があるからこそそれぞれの見え方で自然を見つめているのだと思う.
夏は暑くて冬は寒い.これだけでは言葉が足りないほどに季節に対して敏感なのかもしれないと思う.

ボーイスカウトの活動は関わるようになってから半年しかたっていないものの,理科教育の視点からも私の個人テーマでもある「見る→わかるってなんだろう?」というクエスチョンの観点からも非常に興味深いものである.

私は人の目を借りて世界を見ることが好きだ.
この人には何が見えているんだろう.
この人は何を今まで見てきたんだろう.
この人はこれから何を見ていくんだろう.
推測するだけでも面白い.

来年度(すでに今年度)には新しいボーイスカウトも加入する.
きっと彼ら・彼女らもまた自分が見てきた世界があってそれらを私は見ることができるのが楽しみだ.
そして,自分が彼ら・彼女らの世界に別の視点を提供できる者でありたいと思う.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?