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武術的老子解説

原文

学を絶ち憂いを無くす。
唯、これ阿と、幾何か相去らんや。
善、これ悪と、何のごとく相去らんや。
人の畏るる所、畏れずは不可なり。
荒としてそれ未だ央かな。
衆人、ききとして大牢を亨るごとく、春のごとく台に登る。
我独り泊として、それ未だ兆さず、嬰児の未だわらざるごとし。
るいるいとして帰る所無きがごとし。
衆人、皆、余り有り。
我独り遣いのごとくかな。
我、愚人の心なりや。
沌沌たり。
俗人、昭昭たり。
我独り昏昏たり。
俗人、察察す。
我独り悶々とす。
澹としてそれ海のごとく、りょうとして止まる事無きがごとし。
衆人、皆を以って有り。
しかしながら我独り頑なに鄙に似す。
我独り、人に異なりて、母に養わるるを貴ぶ。

解釈

学問をしなければ、憂いも少なくて済む。
「はい」と「うん」の返事の仕方にどれほどの差があろうか?
悪と善、こんないいかげんな基準にどんな差があろうか?
人が恐れることは、自分だって恐い。
気持ちはいつも波立っていて、穏やかなときは少ない。
みんな大きな迷路を堂々巡りをしていて、それを知らずに我が世の春に浮かれて喜んでいる。
私は独り、静かに居て何もしようとはしない。まだ笑うことすら知らない赤ん坊のように。
生まれたというだけで、どこへ帰ればよいのかすらわからない。
世間の人は皆、余裕があるように見える。
わたしだけは、知らない町におつかいに来た子供のようだ。
私の心は愚か者のようだ。
ただぼ~っとしているだけ。
世間の人は、てきぱきと色々なことをこなしている。
私は独り、うじうじとしている。
世間の人は、色々な情報を知って先を読んでいる。
私は悶々として悩んでばかりいる。
寄せては返す波のように、やむことなく吹く風のように。
世間の人たちは、いろいろなものを持っている。
私は独り、木の人形のように頑固に固まって、何も持とうとしない。
私は独り、世間の人たちとは違って、母なるものに養われていたいと思う。

コメント

技はかけるものではなく、相手がかかるもの。
いつも確固たる信念がなく、なるようになった結果が出てくるだけ。
相手の動きをうやうやしく捧げ、小賢しい知恵もなく、壊さないように運ぶ。
はつらつとした相手の動きも、てきぱきと気合の入った動きも、こちらの優柔不断な動きに巻き込まれてダラダラになってしまう。
いつもやる気がなく、相手の動きに随っているが、その動きに巻き込まれた相手もやる気をなくして戦えなくなってしまう。
限りなく相手次第で、運まかせ。

「人事を尽くして天命を待つ」といった根性論ではなく、丸投げしちゃって責任は取らない。

全ては武術のせいで、私のせいではない。









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