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消極的なラーメン屋さん

久々にラーメンを食べに行く。これまで何度となく通ったことのあるお店だが、コロナ事情で営業時間が急に変わってみたり、お休みだったりしてタイミングが合わなかった。

あれ?
暖簾が出てない・・・休み?
まさか
コロナで潰れちゃったとか???

よくよく見ると、暖簾はかかってないものの、お店のドアは開いたまま。それにしても薄暗い店内。

ワタシ「あのーすいません、やってます?」
店主「あ、はい。」
ワタシ「あー良かった!暖簾出てないからお休みかと思っちゃった。」
店主「ああ…」

恐ろしく、活気のないお店。
食べ物屋さんなんだからさ、ここでは元気よく「へい!らっしゃーい!」って感じで威勢よく迎えるとこじゃない?と思ったんだけど、今は大声ダメなんだったと気が付いて思い直した。
いつものお気に入りラーメンを注文して待つ。             ふと、店内に何かしら違和感を覚える。テレビが付いてない。エアコンが殆ど効いておらず外気とほぼ同じ室温、座っているだけで汗がにじんでくる。バイトがいない。お客さんが他に誰もいない店内で聞こえて来るのは厨房の調理音だけ。淡々と手を動かしている店主に笑顔はない。        この空気感・・・凄く苦手。

しばらくすると、背後から忍び寄るように店主がラーメンを運んできた。「お待たせしました」囁くような声。いくら感染要望対策って言ってもそこまでする? 何だか急に笑いがこみあげて来た。考えようによっては、これほど面白い場面はない。

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笑をこらえつつ、さあ!食べるぞ!と思ったら、お箸がない。水もない。「すいませーん!おお箸と水、いただけますか?」
店主「ああ…」

私のこのお店でのお気に入りは
「辛いラーメン、大辛、こってり、細麺、普通、卵トッピング」
魚介系(長崎県産のアゴだし)、濃厚なコクのあるクリーミーなスープ、焙ったチャーシューの香ばしさ、のど越しの良いストレートな細麺…。

このお店は、2年前に、初代の店主が病気を理由に今の店主に店を譲った。しかし、初代店主は自ら創り上げたスープだけは残したいと、引退後も毎日別の場所でスープを作って運んでいる。何と言ってもスープ命!
店主やお店の雰囲気が変わってしまっても、この味が変わりさえしなければそれで良い。としたい。
とは言え、このご時世で飲食業界は苦境に立たされていると聞けば、果たしてこのラーメン屋さんの存続は?と気になってしまう。         どうか、再びあのラーメンに会えますように。


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