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愛しの相棒

現在、今年4歳になるミックス猫(♂)と暮らしている。

そもそもの始まりは、地元フリーペーパーの「ワンちゃん・猫ちゃん里親募集」の記事。

「生後1か月。雑種の♂ 毛玉のようにふわふわで可愛いです。」
ふわふわ・・・このワードに引き寄せられるように、速攻で募集主さんのお宅へ。呼び鈴を押すと、作業服姿の何とも不愛想なオジサンがのそっと出て来た。

「ふわふわ、かわいい」とは無縁な風貌・・・

子猫を見せていただきに来ましたと告げると、奥の部屋から「彼」を片手で掴んで戻って来て「はい!これね。」と無造作に私に押し付けた。

え?あ・・・そんな乱暴な。と後ずさりしながらも、手のひらに乗せられた「ふわふわ」の反則級の可愛さに言葉を失う。

片手にすっぽりと収まってしまうほどの小さな身体。ほんのり伝わって来る温もり。まさしく毛玉以外の何物でもない、極上の手触りとふわふわの質感

私「あの・・・確か、この子ってまだ生まれて1か月たってないんですよね?」
オジサン「そう。生まれたばっかり。」
私「っていう事は、まだ乳離れもしてないんですよね?」
オジサン「そうね。でも大丈夫よ!その辺のミルクでも飲ませとけば大きゅうなるって。」
私「出来たら、この子がちゃんと乳離れした頃に、あらためていただきにあがりたいんですけど。」
オジサン「大丈夫って!心配せんでもよか。」
と、断固受け取り拒否。

これまでにも何度か猫と暮らしたことはあるが、生後1か月にも満たない子猫を育てた経験はない。
カワイイには違いないが、果たして育てられるんだろうか?

子猫は、私の上着の中に顔を突っ込んでスヤスヤ寝息を立て始めた。
寝てる姿は、更に可愛さが増している。早くも虜にされてしまった私。
もはや、返却の道はない・・・。


オジサンのお話し。
この子の母親は、純粋な「ノルウエージャンフォレストキャット」
メスの避妊手術は、開腹手術になるため、身体を傷つけたくないと完全室内飼いを決め、絶対に外へ出さないよう徹底していた。
なのに・・・ある日ふと気が付いたらお腹が大きくなっていたのだという。
一体、いつ?どうやって?
家族のちょっとした油断した隙間に脱走を図り、近所をうろついている野良君と仲良くなっちゃたって、そういうことらしい。
そうこうするうちにどんどんお腹は膨らんでいき、3匹の男の子が生まれた。長男、次男ともに既に里親が決まっているそうで、最後に残ったのがこの子だということだった。

ちょっとだけと見せてくれた母ネコは、長くてふわふわの黒白の毛皮を身にまとった女王様のような猫だった。

3匹の子猫を一日も早く手離し、何事もなかったかのように女王様と暮らしたい。里親探しを急ぐオジサンの態度から、そういう人間の事情が透けて見える気がした。

ちゃんと育ってくれるかちょっと心配だけど・・・連れて帰ろう。

スポイトでミルクを飲ませ、離乳食を与えることから始まり、トイレの躾など通常母猫が躾けることを全てやらなければならず、結構大変だった。
人間の子どもは3人育てたけど、ある意味、それ以上に手がかかったかもしれない。何せ、「彼」には言葉が通じないからね。


一日の大半をほぼ寝て過ごすだけの「彼」
お腹が空くとのそっとやって来て「腹が減った~~~」と催促し
トイレに行っては「もっときれいに掃除しろ~~~」と不満を漏らす。
こっちがどんなに忙しくしてても、「猫の手」を貸してくれたことはない。

ただ、そこにいるだけ。
常にマイペースで、媚びてくることはない。
甘えたい時に甘え
寝たい時に寝る

どこまでも自由気まま
そういう微妙な距離感が、私にはたまらなく心地よい

ひとりと一匹の暮らし
「私に何かあったら、真っ先に困るのは君なんだからね!わかってる?」
度々、こう言い聞かせる。

彼は、極端に警戒心が強いのか、臆病なのか、私以外の誰にも触らせようとしない。猫が大好きな娘たちでさえ、近寄れば攻撃態勢に入り、「来るなー!近づくなー!噛みつくぞー!」と猛獣のような声で威嚇する。私以外誰も彼の世話が出来ないので、預けられず、泊りがけの旅行に行く事も出来ない。そればかりか、事故にあうわけにもいかず、病気で入院するわけにもいかない。ましてや、彼を置いて先立つわけにはいかないときてるから、自ずと健康で長生きしなければならないというわけだ。

「死が二人を分かつまで・・・」って、まさか猫と誓い合う人生になるとは思ってなかったなあ~

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