見出し画像

うま味と化学調味料と



最終的には「二郎は "ま ず い"」ということを伝えるために
個々に出てくる小話みたいなものをやっていきます

勘違いしてほしくないのは
化学調味料を全く使うな!!
無化調が正義だ!!!

なんて言う気はさらさらなくて
むしろ積極的に、ただし用法、容量を守って使いましょうよ

って話に帰着します


その第2弾です


第1弾は、化学○○と人工○○の違いについてやりました
たとえば化学調味料、人工甘味料など

その"化学"○○、"人工"○○とする違いについてわかりますか?


なので自分ははっきりと、うま味(旨味)調味料ではなく
化学調味料と表現します

※※注意※※

だんだんと不幸になってしまう内容になっているかもしれません
知らぬが仏というやつで

昨日まで”美味しい!”と感じていたものが
美味しくなくなっちゃうかもしれません

ただ、そのかわりに
なんの変哲もない、素朴なものを
しみじみとあぁ美味しいなぁと感じてもらえるようになると思います

一時期、Twitterで流行った
コントラストや明度、照度がバリバリに高いっていうんですか
ちょっとカメラ詳しくないんで用語はわからないんですけど
キラキラした写真がありましたよね

最初はキレイにみえるんですけどね
そのうちもう飽きてきたんじゃないですか
そこまでやんなくてもって

そのかわり肉眼で普通に見えるものを

全くキラキラしてはないけども
全くジブリっぽくもないけども
エモいって感じもしないけども

ただの風景なんだけど
でもあぁいいなぁって思えることも
あるじゃないですか

そんな感じにはなれると思います



"偉大な"うま味の発見
"革命的に安価な"化学調味料の合成と
 過剰なうま味


うま味の発見は素晴らしいものでした
なんともいえない美味しい味の正体がより明確になったんです
現在は五味によって味わいが決まるとされています

(ここでは五味を、塩味・甘味・酸味・苦味・うま味の5つとします)


辛味について (余談)

余談ですが
辛味は単なる刺激です

カプサイシンを例にとると分かりやすいですが
カプサイシンには味わいの要素は全くなく
カプサイシンは単なる刺激物とされています

私も辛味のあるものは好きですが、辛味は味の要素には入れません

よくいわれる話ですが
もし甘口と辛口の違いが単に辛味の有無、量の違いであるならば
絶対的に"美味しい"のは甘口です

辛味は、こと"味をあじわう"ことにおいては単なる邪魔にしかなりません

好みの違いこそあれ、"美味しい"のは甘口です




話を戻すと
うま味の発見は素晴らしいものということでした

塩、塩味に例えるとわかりやすいと思うんですが


塩も、私たち人間にとって偉大な発見でした

人類が火を使うようになってから久しいですが

肉をそのまま食べていた人類が
肉を焼けるようになって
肉はすごい美味しく(安全に)なりました
(生肉の美味しさは確かに認めますが
 話がそれるのでそれはちょっとおいといて)

そして塩をかけた焼いた肉は抜群に美味しくなります


実際にやってもらえればよく分かると思うんですけど

たとえばスーパーで買ってきた(生姜焼き用などの薄い)豚肉を
なにも付けずに2枚焼いて

1枚はそのまま食べてみると
確かにそれなりに美味しいし、食べられなくもないけど
そんなにはいらないかなって感じですよね

そしたらもう1枚は塩をかけて食べてみてください
めちゃめちゃ美味しくなりますよね

ただ焼いて、塩をかけただけでこんなに美味しくなるんですよ

もちろん塩をかけてから焼いてもらっても全くかまいません
 ここでは工程の順序による味の違いは置いときましょう
(COCOCOROの大西さんが変わりにやってくれています)

大切なのは焼く工程と、塩をする(塩味をつける)工程の
2つの工程を合わせたときの衝撃です


塩って偉大!!
っていうことが分かるとおもいます


それと同様にうま味の発見は素晴らしいものでした
いままでなんとなく美味しいということを認識していたことへの答えの1つとして、一部のアミノ酸が挙げられたのです

非常に繊細で微妙だった美味しいということの解像度が一気に上がりました
あのなんともいえない美味しさの正体はアミノ酸という化学物質でした

そしてうま味を示す代表的なアミノ酸として
グルタミン酸(正確にはグルタミン酸ナトリウムですが、簡単のため省略)、イノシン酸、グアニル酸が挙げられます

そして幸か不幸か、いずれもそれらのアミノ酸は簡単に安価に高純度に生成できるものでした

これは革命的で
高価な食品や複雑な、煩雑な工程を踏むことなく
安価な高純度の白い結晶の粉をくわえるだけで
手軽にそして誰でもそれなりに美味しい味を表現できるようになったのです


さてさてこれで人類は安価に、手軽に、だれでも簡単に美味しい料理が食べれるようになりましたとさ、めでたしめでたし



とは、ならなくてですね

いままでに書いた通り
美味しさって、うま味って
なんともいえない、ものすごく繊細な微妙な味わい
なんですよ


うま味って塩とか砂糖とかの塩味や甘味とちがって
はっきりこれッッ!とわかるような味わいじゃないんですよね


そしてこれは大前提で、共通の認識だと思ってるんですけど
化学調味料を全く使わない料理が
使う必要がない料理がやっぱり美味しいですよね

高いお金を払って食べる高級な料理には
やっぱり化学調味料は入ってないし

そして入ってて欲しくないですよね


だから本当に美味しい理想的な料理には
化学調味料は必要ないってことですよね


なので化学調味料を全く使わない理想的な
美味しい料理を基準として
そのうま味の量を1とすると

実際に数字を出してるわけではないんで
たんなる妄想でしかないんですけど

化学調味料を足した多くの料理のうま味の量は
10倍とか、100倍とか
ちょっとオーダーもよく分からないですが
1000倍とか、それ以上とかかもしれません
(オーダーというとだいたい桁数のことを表しているということでかまいません、正確にはX^a(Xのa乗)というときにXのオーダーがaです、多くの場合は10の何乗かつまり桁数がどれくらいかということをオーダーがいくつかと表します)


そもそも化学調味料を全く必要としない美味しい料理の
(食品由来の)うま味の量っておそらくたかがしれていて
そんなに量は入ってないと思うんですよ
(有識者の方がいらっしゃいましたら
 ぜひ論文、データなど教えてください)


それでいてうま味って味わいとしてはっきりとはしてないんで
またうま味っていうネーミング自体も相まって

入れれば入れるほど美味しいみたいな幻想に包まれてて
多くの場合あきらかに入れすぎちゃってるんですよね



塩とか砂糖とかにおきかえると至極あたりまえな話なんですけど

塩って入れすぎたら食べれたもんじゃないですか
クッキングパパのサラミの話が有名ですが

たとえば肉1枚にパラパラっと塩をふるだけでいいところを
スプーン1杯バサっとかけたらだめじゃないですか


砂糖はしょっぱい料理の例がいいと思うんですけど

普通に塩気を感じる料理にも砂糖を加えるじゃないですか
日本人ならそばつゆがわかりやすいですかね

そばつゆに砂糖をいれると美味しいからって
スイーツみたいに甘くなるまでとか
本来の10倍の量とか入れていいもんじゃないですよね
(想像すれば理解できる話だと思いますが
 実際に、本来しょっぱいはずの味がスイーツ並みに甘かったりすると
 脳がバグってけっこう強烈な吐き気がしますよ)

塩とか砂糖とか、うま味以外の塩味・甘味・酸味・苦味については
入れすぎるとまずくて食えたもんじゃないって分かってるのに


どうしてうま味だけは入れたら入れただけ美味しくなるってなっちゃうんでしょうか
うま味だって入れすぎたら”まずくて食えたもんじゃない”んですよ

そして本来の理想的な適正なうま味の量が微量なのに対して
安価な、そして使いやすい単なる白い粉を入れるだけでいいんで
バッサ、バッサ入れちゃうんですよ


よく浅漬けとか、ぬか漬けに味の素ふりますよね
パっパっと

あれすでに暴力的な量です

これも単なる妄想なんで、数字に意味はないんですけど
数%、もしくは1%未満の
溶かした水をスポイトで1滴とかそういう世界だと思います


いわゆる町中華とかのチャーハンで
塩より多い別の白い粉を入れてますが
あれも明らかにやりすぎです
(一見まともそうなホテルの中国(中華)料理でさえも
塩以上のうま味を入れてるところはごまんとあります)

塩の数%以下とかで十分です



家庭で手軽に変えられるのはアジシオでしょうか


アジシオ : 味の素



お宅にあるアジシオが100gとしましょう
アジシオは約10%のうま味が入っているので

市販の普通の安い塩でいいです、食塩でもいいです
それと混ぜて濃度を下げましょう

実際に検証しているわけではないんで正確なことは分かりませんが
1%未満だと思ってるんですけどね

1%ならアジシオを10gを、普通の塩が90~100g入った瓶に足しちゃいましょう
それでも濃いと思ってるのでいい感じのところまで薄くしちゃってください

少なくとも5%もあれば十二分なんで
50g、50gずつは最低でも混ぜちゃっていいと思います


自分も化学調味料を買いはしたんで、自分でも適正な濃度を探していきます

ひとつのゴールとして
いわゆる安いシーフードミックスでつくる"美味しい"ペスカトーレを目指したいと思ってます

パスタをゆでるお湯に何%の塩分濃度
(もしかしたら塩に対して何%のうま味)

そしてパスタを合わせるときに何%のうま味を足したらいいのか


みたいなのでとりあえずの正解を出したいと思っています


だいたい「二郎は "ま ず い"」ってまでの話の筋が見えてきたでしょうけど
もう少しお付き合いください


おまけ

中国産の化学調味料と核酸系


自分の買った化学調味料は、中国産の業務スーパーの安いやつです
中国産のは安全なのか、値は張るけども国内企業のものの方が安全じゃないか、なんて言われたりしてますが

https://note.com/rinto_nojima/n/nbd26c98c7c29


にも書いた通り、そもそも化学調味料とは単に
自然界に存在する物質と全く同じ物質を化学合成したものです

なので中国企業が製造しようが、国内の企業が製造しようが
物質自体は全く同じ物質です


安全性が担保されない可能性があるとすれば

  • 不純物の混入

不完全な精製による不純物(純度の問題)
もしくは製造過程などにおけるゴミなどの不純物
(工場などの衛生的な問題や流通における丁寧さの問題など)

  • そもそもの主成分であるアミノ酸が全く違う物質である

くらいしか想像できません


自分はまぁ大丈夫だろうということで
安い業務スーパーの化学調味料を買いました

買ったのは
核酸系1%のものと8%のものを両方買いました
(核酸系とは5’-リボヌクレオチドナトリウムであり、これはイノシン酸ナト  リウムとグアニル酸ナトリウムとが(おそらく分子量の)比が1 : 1のものです私たち人類はどうやらイノシン酸、グアニル酸をそれぞれ単体で製造するこ とはできないらしく、イノシン酸とグアニル酸との(おそらく分子量の)比が1 : 1であるリボヌクレオチドを生成しているみたいです)
(イノシン酸とグアニル酸の単体の生成が原理的に不可能なのか、コストがか かりすぎるのか、現状は不可能なのかは、自分もよく分かりません)


要はグルタミン酸99%、イノシン酸0.5%、グアニル酸0.5%のものと
グルタミン酸92%、イノシン酸4%、グアニル酸4%のものの2つを買いました
(一部の科学に強い方々しか気にならないと思いますが
何度もいうとおりこの%が質量%なのか分子量の%なのか定かじゃないです)

なので用途をある程度想定して
1~8%のものをいくつか用意するつもりです

またアミノ酸ではないのでうま味とするかは微妙なところですが
貝などの由来のうま味(のようなもの)を示すものとして
コハク酸もamazonで買いました

ペスカトーレ作る気だったんで
魚介系のうま味を表現するのに適した
コハク酸の濃度もみつけたいと思います

コハク酸はうま味に対して比較的わずかでいいそうなので
もしやる方がいらっしゃったら気を付けてください


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?