見出し画像

「魔の森」の主との激戦

「魔の森」の中には、複雑な景色が広がっていた。虹色の鳥や、ガラスでできたかのような透明なトカゲ、小さな黒い花など、きれいなものがたくさんあった。だが、そこを台無しにしているものが一つある。 
それは、「魔物」だ。瘴気を辺りに撒き散らす大蜘蛛や、気持ち悪い笑みを浮かべる、ゴースト、小型トラックくらいの大きさの芋虫などがいる。しかも、倒しても倒しても、経験値1にもならない。だからとはいえ、弱すぎる。相手が触れるだけで、相手の体がサイコロステーキみたいになるのだ。大芋虫がサイコロステーキみたいになった時は、もうトラウマになりかけた。だが今回、魔の森に用があるのだ。一応、この「魔の森」もダンジョン。そう、ダンジョンボスを倒すことだ。なので、最短の道行かなければならないのだ。という訳で、
「加速ッ!」
新しく獲得したスキル、加速で最短の道を疾る。体感で5分くらい経った時、ボス部屋にたどり着いた。荒くなった息を整えながら、ボス部屋に入った。ボスは、ドラゴンだった。しかも三体。一体は物理最強格と謳われる、全身が剣でできたソードドラゴン、もう一体は、魔法最強格と言われるロッドドラゴンである。最後の一体は、「魔の森」の主と思われる、300mほどの「龍」である。「龍」は「竜」すなわちドラゴンの最上位種である。この「龍」は、「召喚術」を持っているらしい。前のダンジョンドラゴンであればゴブリンやオークとかの雑魚だったが。最上位種の「龍」はなかなかに厄介そうだ。まずは、遠距離攻撃が得意な、ロッドドラゴンから殺る!背中に乗り、綱糸でとどめを刺そうと思ったら、後ろから「龍」が「ソードドラゴンの細剣」を召喚してきた。出血は免れたが、少なからず、ダメージを負ってしまったようだ。さすが「龍」なだけある。なら、一瞬で片付けるまでだ!
「肉体強化!」
新たに獲得した、「肉体強化」というスキルで強化した右脚で、ソードドラゴンの尾を蹴りとばす。やったと思った瞬間、あり得ないことが起きた。「龍」が「ソードドラゴンの尾」を召喚したのだ。そう、吹き飛ばした、と言っても細胞は残っているのだ。だからといえ、それを元の位置に「召喚」する精密度は凄すぎる。これだと、中途半端な回復魔法より厄介だ。仕方がない。代償がキツイけど、やるか。
「肉体強化、肉体強化。多重発動。」
俺は、肉体強化と、加速を多重強化した。多重強化した。通常、多重強化の代償は、普通に魔力なのだが、今の多重強化は違う。普通、多重強化とは、「肉体強化」と「肉体強化」などと「同じ」スキルをするようなものである。だが、今回、多重強化したのは、「肉体強化」と「加速」で、「別の」スキルで多重強化した。その代償は、一定時間のステータス低下だ。ステータスが低下すれば、狩りの効率が減る。狩りの効率が減ればスキルの進化も減る。しかし、ここで負けるわけにはいかない。仕方がなく、「龍」と戦った。どうせ回復されるし、「竜」は後回し。「龍」を集中的に攻撃する。すると「龍」もこちらの意図に気付いたのか、召喚をしてきた。召喚されたのは、ーーー竜、吸血鬼、堕天使。全て「最強種」だった。竜は簡単に倒せるとしても、吸血鬼と堕天使がめんどくさい。どちらも固有属性を持っている。
まずは、防御力が弱い、吸血鬼からだ。
「綱糸:収束!」
綱糸をナイフの形に収束し、吸血鬼に向かって、投擲するが、赤黒い「血」によって破壊されてしまった。あれが固有属性「血」か。
「思ったより倒しにくいな。」
固有属性「血」は、吸血鬼にだけ許された、攻防に優れた、血を操る属性。それなら、こっちも固有属性でいく!
「!恒星雨!」
レベル2の、恒星雨を降らせる。もちろん、「恒星時間」の力のおかげで、「恒星雨」の力は激増する!
「発射!」
光り輝く恒星が、空から降ってきた。多分、一発一発が恒星弾の100倍くらいの威力がある。その恒星の雨が、吸血鬼と堕天使、竜と「龍」に命中する。吸血鬼と竜は一発で命を落としたが、堕天使と「龍」は生き残っていた。「龍」に関しては、ブラックホールを召喚して、恒星雨を吸収していたようだ。それでも、ノーダメージとはいかないようで、フラフラとしている。もう、魔力も底を尽きたようで、栄養不足の人みたいな顔をしている。これは、細胞ごと焼かれているので、細胞を元の場所に召喚するわけにはいかない。堕天使は、魔力を消費していないようで、固有属性「堕界」を放ってきた。これは、相手が範囲内にいる限り、相手を弱体化させ、その分自分を強くする、という能力である。ただし、この力だけではない。固有権能「聖魔」を発動した。聖の力と魔の力を使えるというシンプルな能力だ。聖と魔の力なんて弱いけど。堕天使はその行動が無意味だと知らず、魔法を放ってきた。
「グギャギャギャギャ!(聖槍、魔弓!)」
堕天使は、攻撃範囲が狭いが、命中率が高い槍と遠距離攻撃ができる弓という別の武器で闘ってきた。近くに来たら槍、だからといえ、遠くに行ったら弓ということか。賢いな。なら、こっちは「星魔」の新たなスキル、「八十八星座」を使った。一番槍と相性がいい、「ペガサス座」を放った。その瞬間、星空から、星が降ってきて、ペガサスの形になった。そして、堕天使の方へ向かっていった。どのぐらいの強さなんだろう。ペガサスのその筋肉質な白い体を見て、思った。そして、翼が広げられ、飛んだ。そして、羽を堕天使の方へ飛ばした。その羽が堕天使に命中した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?