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獄炎龍インフェルノ

調合釜に、魔法陣が生成されていく。魔法陣は、一つではなかった。1センチくらいのものから、3メートルくらいのものまでが、無数にあった。調合釜の中が、だんだんと輝きだす。そして、形と色が変わっていく。色が血のように真っ赤になった。これは、まさか!

「そのまさかだ。これが、『上級ポーション』だ。一つ違うところといえば、材料に毒消し草を入れたことぐらいか。あとはこれをガラス瓶に入れれば、本物の上級ポーションの完成だ。」

そう。店長が作ったものとは、上級ポーションだった。しかも、明らかに赤さが違う。多分、これには回復性だけではなく、ステータスがアップする魔法が込められている。他にも、いろいろな効果があるようだが、この力だけで、随分と強くなるんじゃないのか?ヤバい効果だな。これ、「世界樹のエリクサー」にも匹敵するんじゃないのか?実は店長、世界一強いんじゃない?こんなのをダンクに渡して大丈夫か?じゃなくて、俺も依頼しに来たんだった。条件を言わなくちゃ。
「あの。プレゼントする魔道具の話なんですが。魔力上昇、魔法防御力上昇の効果付きででやってください。できれば明後日までに。」
「それは、無理だな。まあ、『龍』を倒してくれるってんなら、別だがな。」
龍か。ちょっと前に、倒したことあるけど。
「ずっと前から、火山で暴れてる「龍」が居てなぁ。倒すのなんて、Sランク冒険者3人でも無理だ。その『龍』の名前は、獄炎龍インフェルノ。炎を自在に操るし、本来は弱点であるはずの氷魔法も弱点じゃない。その『龍』の眼と鱗を剥ぎ取って素材にしてくれ。報酬は、そうだな。黒金貨100枚だ。」
「ああ。もちろん。『龍』なら一度討伐したことがあるしな。すぐに向かう。『加速』
じゃあな。」


走り始めてから、体感で10分たった。目の前にたつのは、獄炎龍インフェルノ。弱点属性がない、最強といわれている生物だ。多分瞬殺できると思うが。獄炎龍インフェルノは、火山のマグマを操り、襲い掛からせてきた。時間稼ぎのつもりか。だけど、「炎攻撃無効」のせいで、全く効かない。あとは、ケンタウロスを召喚。口の中を狙わせ、矢が発射された。口の中に当たるが、傷ひとつも負わせることなく、燃え尽きた。さすが「龍」だ。だけど、その隙を狙ってたんだよ!生身で獄炎龍インフェルノの口の中へ入る。常人であれば、一瞬で燃え尽きると思うが、俺は「炎攻撃無効」をもっているため、サウナに入ったくらいしか影響はなかった。ここに、顕微鏡座を召喚。顕微鏡は、見事に喉に引っかかった。そして、獄炎龍インフェルノは、窒息死した。意外と、倒しやすかった。召喚龍よりかは。眼と鱗を剥ぎ取ってっと。これで店長のとこに持っていこう。

工房の中に、やっと移動できた。肉体強化で多重強化したのに、アフリカゾウを持っているかのように重かった。眼と鱗だけで。重さだけはあるんじゃない?というわけで、工房に持っていった獄炎龍インフェルノの眼と鱗を調合釜に入れてもらった。またあの魔法陣が生成され、調合釜が光り輝いた。できたのは、スマホくらいの大きさの魔道具だった。しかもこれ、「天の声」とほぼ同じ機能がついてる。もうこれ、ぜったいSI◯Iパクっただろ。さらに、獄炎龍インフェルノの眼と鱗を素材にしただけあって、炎属性無効、氷属性耐性、雷属性耐性や、「龍」の高い再生能力がついている。こいつ、さては「天の声」より性能いいな?ちなみに、他にも機能があって、こいつを持ってれば飛行できたり、ステータスが物理攻撃力以外大幅上昇したり、小さなドラゴンを召喚できたり。ズルい。これ、ホントはバリアグ用だったのに、俺も欲しくなってきた。そんな心の声を読み取ったかのように、
「そういうと思って、2個作っといたよ。はいこれ。」
といって、もう一つ魔道具を渡してくれた。ありがとう、店長さん。魔道具には、劣化防止の機能がついているから、無限に使える。魔王の魔法が当たったりしない限りは。ん?待てよ?今炎のやつ作っただろ?ということは、冰牙龍シーサーペントの魔道具を作って融合したらどうなる?よしいこう!


20分後。俺は、15647㎞先のアイランドから工房に帰ってきていた。冰牙龍シーサーペントの牙と爪を持って。この牙と爪を調合釜に入れた。魔法陣が生成され、調合釜が光り輝く。もう1個、魔道具ができた。さっきの魔道具が赤色だったのに対し、今の魔道具は銀色だ。何属性かによって変わるのかな?まあ、どうでもいい。今からこれを融合してもらうのだから。赤い魔道具と銀色の魔道具を調合釜に入れた。今回の魔法陣は、全て大きさが一緒だった。調合釜が光り輝く。そして中から出てきたものは。スマホではなく、ドラゴンだった。どうやら、炎と冰のどちらもの能力を持っているらしい。あと、俺の言うことをちゃんと聞いてくれる。ん?今は......7時半だあぁ!バリアグにサプライズしてあげるんだったぁ!急いでドラゴンの背中に乗り、バリアグの方へと急ぐのであった。

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