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明かされる真実

目の前の景色が変わった。目の前にいたのは、「最強種」相手に剣・・・ではなく結界を振るい攻撃をしているバリアグだった。結界を振るっただけで、「最強種」の首が吹っ飛ぶ。その光景に、思わず吹き出してしまった。だって、Sランク冒険者でも死戦して倒せるかどうかの凶悪なモンスターを、一撃でぶっ倒してるんだから。しかも、攻撃を受けずに。しかし、何度倒しても経験値が1にしかならないらしい。たまにエンシェントドラゴンとかが来たりして、経験値が多く貰えたという。が、今の状況では、ステータス値を上げるのに、なかなか苦労しているらしい。そんな修行中?のバリアグに、声をかけた。
「おい。バリアグ、栄養補給にこれ飲まないか?美味しいぞ。」
「何だそれは。毒とか、盛って無いだろうな?どちらにしろ、飲まないぞ。」
・・・・・・ダメだったらしい。毒なんて盛ってないのに。相棒に毒盛るやつがどこにいるんだよ。「そこまでいうのなら飲んでやる。」
だからぁ、毒盛ってないって。ガラス瓶に入れられた魔王の血が、売れば黒金貨500枚以上したであろう血が、ゴクゴクと飲まれた。
「甘いな。砂糖の中に蜂蜜を入れたような味がする。」
血に味なんてあるのかよ!しかも砂糖に蜂蜜入れたぐらいって。その時、バリアグの体がボコボコと動き、変化した。その顔はーーー前世で1番知っていた、アンライという、雫成トロッコの作業員だった。その時、アンライの顔が痛そうに歪んだ。あの日の記憶を思い出したのだろう。俺は謝罪の言葉を言った。
「すまない。バリアグ......いや、アンライ。今までずっと正体を隠していた。俺は、雫成トロッコの運転手の、佐藤典和だ。轢いてしまって、すまない.......」
痛みで歪んでいたその顔が、今度は驚きと恐怖に染まった。自分を轢き殺したトラウマの人物が、すぐ近くにいたなんて、知らなかったんだから。
「大丈夫だ。少しトラウマが蘇ってな。ただ、そおういうのは最初に言ってくれ。はぁ、本当にびっくりした。分かっている、あの日のことは、事故だったのだろう。むしろ助けようとしてくれたことに感謝感激マジ卍だ。」
老紳士だと思ってたのに、アンライ、なんでギャル語知ってるんだ。老紳士が真顔でギャル語使うと、吹き出してしまう。そんな俺に、魔王は「時間操作」を口の中だけにかけて吹き出すのを防いでくれた。気が利くねえ、魔王君。でも、制御ミスって、俺が赤ん坊になっちゃったらどうするつもりだったの?ねぇ?
ねぇ!おいゴラどうするつもりだったんだよ。もう一回痛い目に合わせてあげよっか?
「獄葬焔球、破波水圧、凪斬k......」
「魔術解除!僕に魔法は効かないよ!」
「だから、地獄炎球、無限牢。大人しくしとけよ。これから俺は、大事な話をしなければいけないんだ。」
本当に大事な話なのだ。そうだ。アンライ、日本人に戻ったから、ステータス失ったんじゃない?
「ステータス表示」

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名前  唵磊 瞿靈(あんらい くれい)
真名  無し
権能  転生者、真の加護
能力  集中作業 錆取り 修理 方向感覚 急所狙い
スキル 一心不乱 物理攻撃耐性 夢回復

レベル   1  (+9999)
物理攻撃力 57(+9999999999999999)物理防御力 42(+9999999999999999)魔法攻撃力 0  (+9999999999999999)
魔法防御力 0  (+9999999999999999)
魔力    0  (+9999999999999999)
経験値   0  (+9999999999999999)
技術力  982
精神力 99999
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大丈夫でした。「限界突破」は失っているけど、なんか工業とかに使えそうなスキルが増えたし、前のステータスの分が足されている。しかも、新たなステータスが追加されている。「技術力」と「精神力」だ。この二つは、鍛え上げたら強く成りそうだ。にしても、日本人にもステータスはあったんだ。まあ、人の前で「ステータス表示!」なんて言ったら、こいつ頭狂ってるとか、阿保馬鹿屑雑魚塵とか言われそうだし、第一自分で言うことすら恥ずかしい。そう考えると、異世界人は、羞恥心とかあまり感じないタイプなのかも。とりあえず、前のステータス値が残ってるから、「龍」狩りをさせようか。アンライと一緒に、SSランクダンジョン「真紅之森」へと向かった。


「真紅の森」の中には、「竜」......ではなく「龍」がうじゃうじゃいた。ワームの最上位種、エルダーワーム、ワイバーンの最上位種、ケルベロスワイバーンや、イートドラゴンの最上位種ベルゼビュートドラゴンなどがいた。どれも強い「龍」だ。だが、アンライは「急所狙い」で急所を、確実に狙い、一撃で仕留めていた。と、その時、遥か遠くから、奇声が聞こえた。
「血ィィ灰アァ!血ィ灰ァ!血ィ灰ァ!」
「真紅の森」のラスボス「血異灰君」の叫び声だった。

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