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大谷選手のマンダラチャートに似ている?自社に必要な組織能力の導き方

目次 


「大谷翔平選手が活用した『マンダラチャート』と組織能力の導き方って似てますね」とお客様から多数コメントをいただきます。

そこで今回は、マンダラチャートの解説に加えて、組織能力の導き方、組織能力に関するよくあるご質問を紹介します。

大谷翔平選手も活用した「マンダラチャート」

史上初となる2度目の満票MVPやWBCでの活躍など、日本を日々熱狂させている大谷選手。技術面だけでなく、立ち居振る舞いから垣間見える人柄も魅力的なため、「大谷選手のような人物になりたい」と憧れる方も多いのではないでしょうか。

そして、大谷選手の目標達成や人格形成の基となったのが「マンダラチャート」だといわれています。

(出所:「オオタニサンのマンダラチャート」日本医科歯科大学)

大谷選手は、高校生の頃から「マンダラチャート」を用いて目標達成に向けて取り組んでいました。マンダラチャートとは、中心に大きな目標を書き、周囲にその目標を達成するために必要な要素や、さらに具体的な行動を書き込むシートです。

大谷選手のマンダラチャートには、中心に「ドラフト1位8球団」という目標があり、周囲には「コントロール」「キレ」「スピード160km/h」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」「体づくり」という8つの要素が書き込まれています。

さらに、それら8つの要素を達成するために、例えば「運」という要素には「ゴミ拾い」「部屋そうじ」「審判さんへの態度」「本を読む」「応援される人間になる」「プラス思考」「道具を大切に使う」「あいさつ」といった具体的な行動が書き込まれています。

このように、マンダラチャートを用いることで、目標達成に必要な要素を明確に整理した上で具体的な行動にまで落とし込むことができます。

この考え方は「組織能力開発」にも役立つ手法です。以下で、より詳しく解説します。

組織能力の導き方|活動システムマップ(CASM)

組織能力を導く際に使用するツールとして、活動システムマップ(以下、CASM:Capability & Activity System Map=組織能力と活動の体系図)があります。

活動システムマップ(=CASM)

まず、緑色の五角形の中に組織として何を実現したいかを書き込みます。今打ち出している戦略でもよいですし、会社として掲げているパーパスやビジョンでもかまいません。組織として実現したいことを書き込んでください。

その後で、白色の四角に五角形を実現するために必要となる組織能力を言語化して記入します。
そして最後に、組織能力が発揮されているとき、現場で日々どのような活動が行われる必要があるのかを青丸の中に記入していきます。

このCASMがお客様から「大谷翔平選手のマンダラチャートと似ているね」とコメントいただくことが多いです。

例えば、家具のIKEAを事例に作成したCASMがこちらです。もともとCASMは、マイケルポーターが著者のなかで紹介したものですが、私たちは組織能力と活動を分けて書くことを推奨しています。

IKEAの場合

なお、こちらの記事では「組織能力の高め方」を紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
組織能力を向上させるには?定義と具体例を紹介


マンダラチャートとCASMの共通点と相違点

マンダラチャートとCASMのどちらも、目標を真ん中に置き、それを実現するために明日からどう行動すべきかを体系的に表現している点では極めて似ていますが、あらためて両者の共通点と相違点を整理すると以下の通りです。

共通点:ありたい状態を中心に具体策を検討する

マンダラチャートは、真ん中に実現したいことを記載し、それを実現するにはどのような状態を揃えるべきかを8つ挙げています。

これはCASMの真ん中に実現したいことを置いて、その周りに組織能力をありたい状態で表現するのと同じ考え方です。


相違点:要素の性質と数、階層の深さ

マンダラチャートとCASMの相違点は3つあります。

1点目:心構えか行動か
マンダラチャートの真ん中に掲げた目標を達成するための8つの要素をさらに囲む各項目には心構え(力まない、感謝など)が入っています。対してCASMでは、具体的な活動(~する)で統一するのがポイントです。

2点目:要素の数
マンダラチャート内の各要素は8項目で構成されています。ただ、何かを実現するための要素が必ず8つとは限りません。対してCASMの場合は、真ん中の五角形の周りにくる組織能力は3つのときもあれば6つの時もあります。なお、一つの組織能力の周りにくる活動群は8つよりも多くなる場合がほとんどです。

3点目:階層の深さ
マンダラチャートは「目標→8要素→さらに8要素」の3階層で構成されています。対してCASMは、活動内容が抽象的な場合には、より具体的な活動に落とし込んでいくため、全体構造が4層、5層くらいになることもあります。


組織能力に関するよくあるご質問と支援実績に基づく回答

組織能力に関するよくあるご質問と支援実績に基づく回答を2つ紹介します。

書き出した「組織能力」が正しいかをどう担保し、どう評価するのか?

大学入試を例に考えてみましょう。大学合格には能力が必要です。具体的には、学力も必要であれば、メンタル面でタフさも必要です。そして、これらの能力を高めることが正しいかどうかは、結果で測るしかありません。

いくら、「学力やメンタルは十分に鍛えたはずだ」と主観的に感じたとしても、合格できなかったのであれば、客観的にみれば各能力が不足していたと評価されます。

学力については、過去データの蓄積から「偏差値」という客観的に測る指標が確立されているため、「あなたの学力は偏差値64なのでA大学への合格は難しいかも知れません。でも、B大学なら入れそうです」とあらかじめ評価できます。

では「組織能力における客観性とは何か」という点ですが、個人の例と同様に「結果が出せているかどうか」で測るしかありません。

例えば、ある企業が中経最終年度において売上5,000億円の達成を目標として掲げてきたにもかかわらず、数十年にわたりこの目標が未達であれば、客観的に組織能力が不足していたといえます。仮に売上結果が4,000億円なのであれば、この企業は、4,000億円を達成する組織能力しか有していないといえるのです。

以上のように、何か目指したいことがあって、それが達成できているのであれば組織能力は十分といえます。反対に、達成したい目標があるにも関わらず未達であれば、客観的にみて組織能力が不足していると評価すべきです。

例えば、「このような組織能力(一連の活動)を実装すればよいはずだ」とリーダーたちが考えて、きちんと実行できたにもかかわらず、目標未達であれば「リーダーたちが考えた組織能力は正しくなかった」ということになります。

このように必要な組織能力に対する仮説が外れた場合は、仮説を修正し新たなチャレンジをすれば良いのです。特に新しいことを実現しようと思う場合は、そうするしかありません。
「自分たちが考えた『組織能力』の正しさ、客観性をどう担保するのか、評価はどのようにするのか?」と感じる方は「何事にも正解があるはず、正解以外を選択して遠回りはしたくない」と考えているのではないでしょうか。

VUCAの時代において、正解は誰にもわかりません。しかし、私たちは試行錯誤を重ねることで、道を見つけ、前に進んでいくことができます。決断を迫られる場面も多々ありますが、その一つ一つが成長の糧となり、未来を創造する力となるのです。


組織能力に書かれることがズレていた場合、現場が混乱するし、手戻りも多くなることが心配

現場が混乱する前に修正活動をすれば良いのです。前述の通り新しい能力を身につけるときに試行錯誤はつきものです。

ビジネスの世界では、入試の世界のように「これさえマスターすれば〇〇大学に合格できる」というようなマニュアルは存在しません。そのため、新しい能力を定義した後、その能力開発に向けて、実際に投資するか(時間やお金をかける)どうかの決断力(=勇気)が問われます。

過去に弊社が支援してきた会社も、「この一連の活動で目標が達成できるかどうかは誰もわからないが、これならいけそうなのでは?」と思えたことにより、組織能力開発に向けてプロジェクトが前に進んでいます。


まとめ:VUCAの時代に適した組織運営の在り方

「正解を求めて動き出さないより、動いてみて修正する」という感覚こそ、VUCAの時代には必要です。デザイン思考の事業運営が求められているのです。

現場が混乱しないためにも、事業のリーダーシップチームで一連の活動を作り上げて、納得した上でスタートするところに意味があります。

第三者(コンサルティング会社)が勝手に描いて与えるのであれば現場は混乱する可能性があります。そうならないために、第三者がファシリテートし、リーダーシップチームの納得感を高めながら、「これをやってみよう、これならいけるはず」と合意を取りながら支援をするケースが大半です。

弊社では、このようなデザイン思考的事業開発の要となる組織能力開発支援を行っております。

大谷翔平選手も活用した「マンダラチャート」は、目標達成に向けた具体的なアクションプランを立てる際に有効な手法です。自社に必要な組織能力を導き出す際にも、この手法を活用することができます。

また、本記事で紹介した活動システムマップ(CASM)は、より組織向けに開発されたツールです。多くの企業がCASMを活用することにより、高めるべき組織能力および必要な活動・施策を明確化し、目標達成に向けて着実に歩みを進めています。

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