【1人の男と2人の女】与謝野鉄幹・晶子・山川登美子を巡る物語1/3(山川登美子篇)
山川登美子篇→与謝野晶子篇→鉄幹篇の順でお読み頂くと、内容が分かりやすくなっております。
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1902年10月。
京都から乗った汽車の窓外は、郷里、小浜が近づくにつれ小雨模様となった。10月でも北陸の雨は小さな針のように冷たく意地が悪い。
その冷気は、車内にまで及んでいた。
山川登美子は、隣りに座る夫、山川駐七郎の寝顔をまじまじと眺めた。僅かに、青白い