マウントを取りたい人の心理を分析してみよう
同居している母の具合が急に悪くなって、夜中に救急搬送された。
幸い大事には至らず、1日だけの検査入院することになった。
ぼくは翌日の午後に休暇を取って母を迎えに行くことにした。
会社を出てエレベーターに乗ろうとした時のことだ。
ぼくの背中から同僚が話しかけてきた。
「早退ですか?」
「ちょっと野暮用」
「ご家族に一大事ですか?」
どこかでぼくのことを嗅ぎつけて、白々しい誘導尋問をしてきた。
ぼくは昨日の夜中に起きた一部始終を話した。
二人でエレベーターに乗り込むと、同僚は言った。
「その程度で済んでよかっですね。うちには・・・」
その同僚のご家族に難病の方がおられて、それからしばらくその方の病状について聞かされた。
「お母さんの具合はどうなんですか?」
「それはたいへんでしたね。寝てないんじゃないですか」
そんな言葉は一切ない。
人それぞれ感性が異なるから、一概にぼくの言うことを当てはめることはできないが、相手を気づかう言葉は一切ない。
その同僚とは付き合いが長いから、よくわかっている。
いつものことだ。
相手に対してマウントを取りたい・・・。
自分の方がたいへんだ、自分の方がいろんなことを知っている、自分の方が・・・。
どうやらぼくの家族を心配する気はないようだ。
マウントを取りたい人の心理ってどうなんだろうか。
常に何にでも勝っていないと気が済まないのだろうか。
しかしそれと相手を思いやることは別だと思う。
ぼくは常に負け続けているから、その心理はよくわからないが、負けることが嫌なのか、怖いのか、勝ち続けていなければ不安で仕方がないのだろう。
ぼくは負けることに全く不安がないから、ひょっとしたらその同僚と気が合うかもしれない。
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