【連載小説】小五郎は逃げない 第40話
闘走 2/5 以蔵と対峙した隊士は、以蔵が真剣ではなく木刀を持っていることにいち早く気付いた。たとえ木刀で叩かれたとしても、命を落とすことはない。安心感と共に、以蔵に反撃する余裕を与えないように、連続して打ち込んできた。以蔵は斎藤との激闘で傷んだ木刀で、何度となく敵の攻撃を受け止めているうちに、木刀が折られてしまった。隠してある木刀はまだ残っているが、それを取りに行く隙が無い。真剣を持った相手と素手で戦って勝てる確率は、万に一つもない。
「こりゃ、参ったぜよ」
以蔵が独