いい女の部屋には「爪楊枝」はない。
「いい女の部屋には爪楊枝はない」
かつて男性に、そう言われた。
私の一人暮らしの部屋には、爪楊枝がしっかりあったからだ。
確かに言われてみれば、爪楊枝の使い道は、歯に挟まった肉をとる、とか、足の爪に入ったゴミをとる、とか。
まるでいい女がしなさそうなことばかりだ。
なるほど、と思った。
いい女に、おおよそ爪楊枝なんて必要ありそうもない。
だけどそのあとで、「じゃあ、いい女は、歯に肉は挟まないのかな?」と疑問に思った。
きっといい女は歯が綺麗だから、肉なんか挟まらないのかもしれない。
だけど、足の爪のゴミは?
どんないい女でも、靴下を履いたら、足の爪には、ゴミくらいはさまるよね?
やっぱりいい女も、爪楊枝は必要だと思った。
しかもいい女は、ちゃんと足の爪に入ったゴミを取っていると思う。
足の先から全部きれいなのが、いい女だから。
そうなると、私は、本当のいい女とは、「男が部屋に来ても、バレるようなところに爪楊枝を置いたりしない女」なのだと思った。
生まれついて、何もかもいい女なんていない。
努力するのがいい女で、だからこそいい女の部屋に、爪楊枝なんてないのだ。
そう思って女の人に、「女の人でも爪楊枝はいるよね?」って話をしたら、同意してくれた。
しかもその人は、「ネイルを直したりするときに使うよね」なんて言った。
爪楊枝にそんな用途あるなんて思いもしなかった!
ネイルをたまに塗っても、そんなに細かいところまで修正したりしないから知らなかった!
やっぱりいい女の家にも爪楊枝はある。
だけど、いい女は、やっぱり「いい女の用途」で爪楊枝を使うのだと思いしらされた。
余談だが、歳をとるとみんなおしなべて爪楊枝がいるようになる。
歯茎が下がるから、歯に食べ物が挟まるようになっちゃうから!
そんな用途で爪楊枝を持ち歩く私は、いい女への道は遠いなぁ‥と思ったのだった。
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