量産型人間
待ち合わせより早くついてしまった
家電屋にふらっと入る
並ぶTVたち
最近は画面がすごく綺麗になった
同じTVが同じ映像を一斉に映し出している
ボーっと眺めた
周りを見渡せば
洗濯機、冷蔵庫、炊飯器。 。 。 。
種類ごとに同じ商品がズラーっと並んでいる
「いらっしゃいませ〜」
店員に目をやる
笑顔を浮かべてみんな同じセリフを言っている
同じなのは家電だけじゃないんだ
店を出る
いつもなら見過ごす
街を歩くたくさんの人々をじっと見てしまった
みんな必死そうだ
働き、愛想笑いを浮かべ
世間が求める人を目指しているようだ
好かれるため、生きるためだろうか。
そして自分も
大人になるに連れて
社会に揉まれながら量産型の人間に近づいていた
私が求めるのは
みんなに好かれる人ではない
売れ行きバッチリな商品でもない
私が求めるのは
世間が求める人じゃない
私が求める私だ
待ち合わせの5分前に待機し
先輩と合流する
予約していたごはん屋さんに入り
他愛もない会話をする
頭を下げ、愛想笑いを浮かべ
顔色を伺った。
私は知らぬ間にまたそっちの人間になっていた