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夜空

 夕焼けこやけが落ちた商店街の中。1人の少女が駄菓子屋の前で何かを見ていた。その少女はあまりにも夜で、あまりにも星だった。何かといえば、少女の髪が夜空のような黒に、星のツヤ感があったからだ。その髪は黒と1言で言えば、暗すぎて、茶色といえば全く異なる色なのだ。街頭が反射するそのツヤがまるで夜空に浮かぶ無数の星ようで、思わず引き込まれてしまう。

 その夜空をなびかせて、少女は何かを決めたように、駄菓子屋へ入って行った。そこから聞こえてきた少女の声がまた、子守歌のように心地よくて、歌声のようだった。

ガラッと音がしたかと思えば、再び夜空を連れて少女は出てきた。
 ふんわりと夜空と対照的のような、同じような、笑顔に心を奪われる。そうか……月か。
 月の笑顔が崩れないうちに、少女は手に持っていた何かを口にして近づいてきた。
「私、星を食べたの」
 満月。
「私、星を食べてるの」
 半月。
「ねぇ、私、星を食べたのよ」
 新月。

見とれていた月は消えてしまった。少女のもっている星に目をやる。その手には、白、桃、黄、橙、緑、薄青とたくさんの星の入ったびんがおさまっていた。
 少女の頭をなでて、1つ、星をもらった。口に運べばカリッという音と甘い味。
 満月。と、こんぺい糖。

2019/4/22(月)

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