マガジンのカバー画像

糠星

8
とりとめのない雑記です。
運営しているクリエイター

#エッセイ

13年越しの『上と外』

初めて恩田陸の『上と外』を読んだのは中学生の時。 もともと親の影響で本はたくさん読んできたけれど、それまでは夢水清志郎シリーズ、パスワードシリーズ、黒魔女さんシリーズなど圧倒的に青い鳥文庫が多く、当時流行していた携帯小説も読んでいた。文字が大きくて、すぐ読めて、楽しい物語が好きだった。 そんな中、同級生から「これおもしろかったよ」と教えてもらったのが「上と外」の文庫。 カバーは森の写真だし、内容がぱっと分からない堅そうなタイトルだし、当時の私は手に取らないような雰囲気の本だっ

姉の入籍

姉が入籍した。 暦は秋になってもそんな様子を微塵もみせない夏の盛り。 姉は姉じゃなくなった。 小さいときから何をするにも一緒。 お揃いの服、お揃いの鞄、お揃いの髪型。 習い事はふたりで。部屋も一緒。 ふたりでひとつ。 ある時からふたり一緒に行動することが嫌になった。 友達の取り合い、人の目の前で喧嘩。 親や周りはほとほと困っただろう。 親は私たちを比べるようなことは滅多にしなかった。 ただ、周りから無意識に比べられること、優劣をつけられることは避けられなかった。 比較対象