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カードを切って生き抜く

「カード師」に出会うまである日、珍しく原宿なんて歩いていたら、見たことのある人が佇んでいた。芸人の又吉直樹さんだった。彼はニット帽をかぶって、全体にお洒落な黒っぽい服装でそこに立ち、原宿を歩く人たちを、ただ見つめていた。力強い視線が意外だった。そのときに少し、彼に好感をもった。 また別のある日、私は又吉さんの新書「夜を乗り越える」を買ってみた。その本の一番最後に、中村文則さんのことが書かれていた。彼にとっては特別な作家、という一文で、その本は締め括られていた。 一度、又吉

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