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3.5億円を調達した『OKIPPA』に携わってみての9ヶ月

先日無事にプレスリリースを出すことができました。

私自身はインフラ・サーバサイドのエンジニアとして正式にジョインしたのは2018年の8月中旬、つまり創業してから1年くらい経ってからです。

正社員としては4人目、実働のエンジニアとしては2人目、サーバサイドエンジニアとしては1人目です。

チームについて

プレスリリースのメンバー写真のうち、一人は取締役ですが大阪でお仕事をされている現役の弁護士さんのためオフィスにはおらず、普段は5人のメンバー + 外注でなんとか回しています。

なので、普段動いているメンバーはCEO(営業メイン)、CTO(結構ビジネス職寄り)、アプリエンジニア1人、サーバサイドエンジニア1人、インフラエンジニア1人、となっています。
また、常勤の5人のうち1人はフリーランスのため、めちゃめちゃミニマムなチームです。

そんな小さいチームで、結構な数のメディア露出と、資金調達までどんなことがあったのかを書いてみたいと思います。

2018年8~9月

ジョインが決まり、実際に目の辺りにしたのは低すぎる品質のプロダクトでした。
OKIPPAバッグはmakuakeで結構な反響を巻き起こし、目標額を大幅に超えて(2213%達成)クラウドファンディングを成功という状態。

しかし、それと対になるべくしてオフショアで開発・リリースされていたOKIPPAアプリはひどすぎるクオリティでした。
アプリ側はまともに動作せず頻繁にクラッシュし、サーバ側もかなり不安定かつ絡まりあったスパゲッティコードが鎮座していました。
私自身はインフラ・サーバサイドをメインに見ていたので、まずそちらをメインに改善に取り組みました。

【当時の開発チームの状況】
・全部rootでなんかしてる
・タスク管理が全くできていない
・CTOがマネージメントのためにベトナムで長期滞在
・インフラが必要もないのにさくらとAWSで混在
・なぜかバージニア北部リージョン
・意味不明なDB設計
・リリースなどの手順が決まっておらず障害が頻発
・セキュリティっていう概念がない

1人だけで社内の開発エンジニアがオフショア先のコードをなんとか使い物になるようにしてリリースしている状態でした。

完全にカオス。闇しか無い。全員オフショア先への恨み言と障害対応しかしてない。

この状況でまずはルール作りと安定化を目指して以下のように進めました。

・インフラを最低限安定稼働できるようなアーキテクチャに組み直して東京リージョンに移設
・CIツールの導入と開発ルールの策定を行って開発〜リリースまでの属人的なミスを減らす
・パフォーマンスが低いクリティカルな機能の洗い出しと改修
・オフショア開発からの脱却のロードマップ策定

ここまで進めるのに1ヶ月半ほどかかりました。
無事に内製化に舵を切ることができ、makuakeのOKIPPAバッグ発送も始まったため事業が回り始めた!という実感を持てた頃だったと思います。

2018年10~11月

開発チームとしては10月末までオフショア先との契約が残ってはいましたが、ひたすらバグを取りつつ新規機能を開発し続けました。
サーバ側のアーキテクチャも大きく変わり、管理する台数もかなり多くなってきました。

企業様との協業ができてきたりしました。

実際に今までは自分たちだけ(男5人)で考えていたマーケティングやプロモーションをアドバイザリーという形で、株式会社MYコンパスの皆様にご協力いただいたりしました。

女性目線の意見は本当に今まで考えてなかったようなことも多く、耳が痛かったです。

そんな中、10月にTechCrunch Tokyo 2018 Startup Battleへの出場が決まります。

弊社のチームとして営業1、エンジニア4なので広報などは全くおらず、そもそもメインプロダクトが布のバッグという地味めなもの...

↑実際のブースの様子

「なんかキラキラしてる会社めっちゃあるなあ...ロボとかAIとかバイオとかすげーわ...」
と思ってました。

結果としては箸にも棒にもかからない惨敗。ですがこの裏で会社の大きなイベントが発生していました。

日本郵便様との実証実験です。

実証実験のリリースが出たのが11月7日、TCが11月15日です。

この1週間、弊社はチーム総出でビラ配りです。

ガチです。

業務後だったり、TCの前日には朝9時から実証実験の参加をお願いするチラシをポスティングして回ってました。

結果としてTCの開催中に目標である1000名を大きく超え、抽選になるレベルで申し込みをいただきました(抽選で落選した方、申し訳ありません...)。

また、日本郵便様との取り組みが発表されてから、かなりメディアに取り上げていただくことが多くなってきました。


エンジニアとしてはチーム全員が12月7日から始まる実証実験に向けてハードウェアエンジニアにジョブチェンジしていました。

中国で作られている同梱品にあまりにも不具合が多かったため、チーム全員で検品してました。

1日あたり2〜3時間位やってたと思います。気が狂いそうになりましたがひたすらUSA流しながらテンション上げてやっていました。
「我々はITスタートアップだよな...?なぜ鍵を検品してるんだ...?」という疑問は投げ捨てないといけませんでした。今となってはいい思い出です。

真面目なエンジニアとしての振り返りは、11月の末に副業のAndroidエンジニアの参画が決まり、徐々にダメなコードやインフラが減っていって安定しはじめました。
開発フローも問題なく回り始め、やっと不具合対応から脱却し始められた頃だと思います。

2018年12月

12月7日、ついに日本郵便様との実証実験が開始されます。

当日の様子がこちら。

有名所のメディアは全て来ていたそうです。
また、この報道を受けてさらに問い合わせが...電話とメールが...しかし弊社にはバックオフィスがいません...

協業してくださる企業様も増えてきました。

アプリも一気にユーザが増え、今まで見えていなかった不具合が顕在化してきました。
この頃からソース理解が進んだことと副業エンジニアさんの手助けも会ってアプリ側の不具合対応スピードが上がり、サーバ側のインフラも安定してきたため、スピーディに対応を進めることが可能になってきています。

この頃から「あー、開発ルール作っといてよかったー」「CIツールでリリース作業自動化されるのめっちゃ楽」とチーム全体で実感できるようになります。
サーバ側はCircleCIでしたが、アプリ側にもBitrise入れたりし始めました。
煩わしい作業は最初が面倒でも自動化しておかないと本業に集中できません。

なんとか無事に実証実験も終わり、年末には元いたオフィスのオーナー様のご厚意で貸していただいていた神宮前から渋谷の南平台へ急遽引っ越しをすることに。

もちろんお金がないので、CEOがレンタカーでトラックを借りてきて自分たちで。
次回の引っ越しはぜひ業者さんにおまかせしたい、そう心から思いました。

2019年1~3月

段々と認知が上がってきたなー、という感じでした。

実証実験の結果をまとめているのを見れば見るほど、「役に立ってるプロダクト」と実感できました。
これ、広がったら世の中良くなる。

1月の中頃からアプリのデザインを刷新してアプリのコードを書き直そう!という流れになり、お互いに前職時代に名刺を交換していたSEVENDeXにコンタクトを取り、デザインリニューアルを依頼することになりました。

かなり無茶苦茶なスケジュールと費用感でしたが、なんとかご協力いただきつつデザインをFIXしていただきました。
本当にラッキーが重なっている会社ですが、縁って大事です。

デザインがFIXしたあともアプリ側は毎日がっつり実装を進めていました。
4月のリリースに間に合わせる鬼のスピードでした。

私は全くデザインリニューアルにはタッチしていなかったので、この頃から事業を次のステップに進めるためのMVPをいくつか作り始めています。
まだ形になっているものはありませんが、一段落しても次のチャレンジをひたすら続けている状態です。

そして、2月になるとまたメディア露出が増えてきました。

12月の実証実験結果が公開され、大きな反響がありました。

↑3日連続で紙面に掲載されたときのCEO

大手メディアに掲載されると波がもう一回くるので、そこでまた大手メディアに載ると...という感じで何度も取材が来ます。

テレビも来たりするともう一周します。

ただし弊社にはバックオフィスがいませんので、ある程度を超えるとかなりしんどい状況です...

そんな中、日本郵便様のデモデイに出していただいたり、他企業様との協業も増えました。

これ今でも(2019年4月現在)キャンペーン中です。無料配布中です。

そして、3月20日に珍事が起こります。

東急アクセラレートプログラムで優秀賞受賞

これがなぜ珍事かと言うと、メンバー全員別の用事があって誰も応援に行ってないんです。
今まで応援に行っても涙をのんでいたのに...

Yperがピッチで賞をとるのはメンバーが現地にいないとき、というジンクスが出来上がりそうで怖いです。

2019年4月

最初の話題に戻って、資金調達のリリースを出すことができました。

ずっと進めていたのはアプリだけではなく、OKIPPAのLPも新しくなっています。

ご協力いただいたのは創業当初からデザインやマーケティングをお願いしていた&Dの皆様でした。ありがとうございます。

また、『荷物管理』というアプリの吸収、デザインリニューアルもリリースでき、一旦OKIPPAとしては一段落が着いたんじゃないかな、と思えています。

これまでを振り返ってみて、なぜ成長できたのか

開発、代表、その他諸々でまとめてみようと思います。

【開発】

実はエンジニアチームにスペシャルな人が1人もいません。
たとえば最先端のベンチャーから転職してきたとか、博士号持ってるとか、過去にExitした経験があるCTOとか、そういう人はいません。
実働部隊のエンジニア3人は、全員が書類選考だとパッとしない経歴だと思っています。そもそもスタートアップでの経験があるのも自分だけ(しかも入社当時で1年半くらい)です。

ただ、全員がSIerでの勤務経験があり、割と堅めの設計ができることは強かったかなーと思います。
かなり大きなシステム(業務系、ゲーム、ECなど)を扱った経験が3人共あり、年数を経たシステムがどこで悲鳴をあげるのか肌で理解しています。

それと全員が「どんなに泣いて叫んでもクソみたいなレガシーコードが勝手にきれいになったりしない」「気に食わないから1から作り直すんじゃ時間がいくらあっても足りない」とある意味で覚めた目で品質の悪いプロダクトを見ていたことが強かったと思います。

泣いても叫んでも、誰も直してくれないんです。

今あるものを作り直すなんてそんな予算はどこにもない。

その上で現実を見て事業を前に進めていける、派手さはないですがそんな良さがオフショアから内製へ、そしてその次のステップに進んで行けている理由だと思います。

【代表】

営業はCEO 1人です。でもそれで十分すぎるほど戦闘力高いなー、と思います。

OKIPPAの営業先はルート営業ではないですし、そもそも大企業なんか門前払いされるに決まってるんですが、そこをうまく掻い潜って握手して帰ってくる、そこが強いなーと。

アイデアマンでもありますが、基本的に思考の速度が早すぎて朝令暮改は当たり前、話してないことを前提に次に進めようとすることもしばしばあります。

ただ、それくらいのスピード感でないと弊社がここまで進むこともなかったと思うので、なるべくそこを実現させられるようにチーム全体が随伴していっている感じです。

また、専門ではないながらも技術に理解があるのはすごく強いです。
それらを踏まえた上で、CEOの「できないことは捨てながら最短ルートを突っ走る勘と能力」がYperが成長できた一番の理由だと思います。

【その他諸々】

CTOはあんまりテクノロジーしてませんが、ある意味ではすごくCTOとしてCEO<->エンジニアチームの翻訳機になっているかなと。
ストレスで痩せたり太ったり白髪増えたりしてますが。

会社全体が人間としてみんな大人なので、「失敗したから必要以上に感情的になって責める」とかないです。
チャレンジのコストもあるけどチャレンジしないと死ぬよね、みたいなことも共通認識としてあります。
アウトプットにはこだわっているので、成果が上がるのであればリモートもOK。
全員が必要以上に感情的になったりしませんが、プロダクトや事業っていう共通認識でガッチリとハマってはいます。
自分が今までいた組織(SIer時代の常駐先など含めて6個目)のなかでは一番バランスの取れたいい状態だと思います。

そういう意味で、組織としてのひずみが一切ありません。チーム内で不和とかないです。そのおかげで人間関係に悩むとかそういう無駄なエネルギーを使わなかったのが、実は大きな要因だったとも思います。

これから

資金調達も終わり、年内に100万個のOKIPPAを普及させるため更にスピードを上げて進んでいきます。

で、そこに際して組織の弱点をどうにかしていかなくては...

弊社は上記の通りデザイナーとバックオフィスが絶望的に足りていません。

できれば取材対応とか含めた広報とか、CEOの右腕になる秘書ポジションとか、デザインの決定権を持ってくれるデザイナーとか...いませんか...!

お給料は結構出ます。スタートアップとしては結構多いです。
年齢給とか一切ありませんので腕に覚えのある人は職種問わずぜひお願いします。

自分のお給料書いてもいいかってCTOに聞いたんですが「テーブルとかがはっきり決まってないからまだダメ」って言われたので書けませんが。
250時間労働で月給25万円とかそういうレベルよりはもうちょい出ます。多分意外と出ます。
なんせ5人しかいないもんで...
勤務時間は...180時間いかないかなぁ...

福利厚生とかは基本的なもの以外はありません。むしろ整備してくれる人を求めています。

wantedly書き始めてるのでリンクはこちらに。

こういう職種募集してるの!?っていう方は hr@yper.co.jp までメールいただければ熱意を込めて返信いたします。

いろいろな方のお力添えでここまでやってくることができました。今後も日本の再配達を無くすために頑張っていきますので、どうかOKIPPAとYper株式会社を宜しくお願いいたします。

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