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カナダで保育:子ども達の食べる権利

カナダの保育士になって感銘を受けた事の一つに食事があります。


カナダでの保育園での昼食は、給食を提供している所もあるけれど、全体的にはお弁当が多いです。

うちの園も例にもれず、各自で持って来ています。(家庭の色がものすごく出ます!)


コロナになる前には、子ども達のお弁当をお昼時間前に保育士が電子レンジで温めたりもしていましたが、今はもし暖かいものを食べさせたかったらThermosなどを使ってもらっています。


ランチに加えて午前と午後にスナックの時間があり、これは園側が用意したものを食べています。


そんな子ども達の保育園での食事事情で、驚いて、でも確かに!と感銘を受けたのは子ども達の食べるものに対する権利です。


子ども達は食べる量と順番を決める権利があり、大人は食べるものの内容と時間を決めることが出来る、というものです。


つまり保護者の方達は子どもに食べて欲しいと思うものをお弁当の中に入れます。

私たち保育士はそれを何時食べるか、という事を決めます。

そして子ども達はその大人が決めた食べ物を、決められた時間に、どの順番でどれだけ食べるか、という事を決める権利がある、という事です。


最初にこの事を知った時に、確かに!と思ったんです。

まさに「馬を水辺に連れていく事は出来るけれど、水を飲ませる事は出来ない」ってことと一緒だな、と。


どんなに大人が「食べなさい」と言っても、「食べて欲しい」と願っても、結局それを口にして、咀嚼し、飲み込む権利は子ども自身にしかないわけです。

だからと言って子ども達が何でもかんでも好きなものを好きな時に好きなだけ食べる事が出来る、というわけではありません。

それぞれが違う責任と権利を持っている、というだけです。


親御さんの中には果物やヨーグルトなど、所謂デザートなどは最後に食べさせて下さい、と言われる方もいますし、その気持ちもすごくわかります。

けれど、親御さんたちが「食べても良い」と許可を出し、お弁当として持たせているのだから、その順番は基本的に子ども達が決めます。

そして子どもの中には最初に果物などを食べてからメインを食べる、という子も少なくありません。

それでもメインを食べる量が少なくなる、と心配であるのならデザートの量を少くするなどはどうかと提案しています。


もちろん年齢によっては保育士が多少順番をコントロールして出す時期もありますが(乳幼児クラスで、全部一緒に出すと、全部床にぶちまけられてしまう事もある為)基本的に子ども達自身が決めて食べる方が食が進んでいますし、楽しく食べる事が出来ています。


食べる時間の制限も基本的にありません。

ゆっくりでも食べている、まだ食べたいとしているのであれば食べ終わるまで時間をかけてOKです。(遊んだりしている場合は終わり!となりますが)

あまり量を食べずにさっさと終わりにする子に対しても「もう食べなくて良いの?」「ーーも残ってるけど良いの?」などの確認の言葉かけはするものの、全部食べなくてはダメ、というような事はしません。(逆にそれをすると虐待にカウントされかねません)

お昼ご飯を食べなくて多少お腹がすくことになるかもしれなくても、それも「ご飯を食べないとお腹がすく」という事を学ぶ機会だし、お腹がすいても数時間内にスナックの時間もあります。

極論ですが、一食抜いても餓死するわけではありません。

お水は各自自分達のボトルがあり、これは好きな時に好きなだけ飲んで大丈夫なように手の届く場所に常に置いてあります。



親御さんたちの悩みトップ3に入る「食」


生きていく為に「食」は絶対必要、ならば余計に楽しく食べたいですよね。


大人達が子ども達の為に選んだ食を、大人達が決めたタイミングで、子ども達は好きなものを好きなように食べる。


大人達にも子ども達にも選ぶ権利とチャンスがあるこの方法、もし食事のとり方に関してお悩みがあれば、試してみませんか?





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