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偶然シンジと会った数日後、 私たちはまた、彼のマンションにいた。 今度は「みんな」で。 隣のベッドでハルとかほちゃんがセックスしている。私が目をやっても、ハルはこちらを見てくれない。 あぁ、すごい苦しみだ。 私は一生懸命、目の前の相手に集中する。 だめだ。 余計に辛い。 こういうとき、私は公共の交通機関を利用している自分を想像した。おかしな話に聞こえるかもしれないが、具体的な駅の名前や構内図を詳細に想像できるから、簡単に気を紛らわせて気に入っていた。 男のサイズ
≪ 17.蛇男 尊(ハル/海)|女風で出会った私のパートナー。 シンジ|乱交パーティーの主催者。作曲家。 ツユリ|全身タトゥー、スプリットタンの蛇男。尊の知り合い。 昔から緊縛ショーや見せ物小屋に関わってもいたから、こういう雰囲気は好きだった。緊縛は美しいし、ツユリも美しい。 二人とも、かなり酒を飲んでいたと思う。 尊にもっと私を見て欲しくて、私とツユリはどんどんエスカレートしていった。長く伸ばした髪が、汗ばんだ肌にぴったりと纏わりつく。 縄がいくら肉体に食い込んで
≪ 13. 欲求を満たす喉の痣。 リビングルームで、初めて2人きりになった。 『ハルがしてるとこ見た?興奮しなかった?』 シンジは電子タバコを口に咥えながら、私に訊ねる。 「…いえ」 私が力なく言うと、 シンジは私をまっすぐ見つめて 『かわいそうに』 と小声で呟いた。 『ハマったら、もうたまんなくなるよ』 少し間をおいて溜息混じりに発せられた言葉。 シンジは、世間ではかなり名の知れた作曲家だった。 繊細で、人の心を搔き乱し、心を溶かす。 私は彼に出会う
【注意】自傷行為の描写を含みます。 セナちゃんは、いつも違うパートナーを連れてきていた。 骨ばった細い体に、ショートカットの赤髪と銀縁の眼鏡がよく似合うボーイッシュな女の子。 彼女は、自分の体を切りつけるのが好きだった。 腹も背中も脚も腕も、傷跡で赤く、撫でるとボコボコしていてとても美しい。 尊は嫌がったけれど、セナちゃんは時々私の目の前で手首を切って、ピンセットで脂肪を抜き取るところを見せてくれた。 私自身は自傷行為をしたことがなかったが、人が自分を傷つけている
私は尊と一緒にいた頃、よく占いに行っていた。 人は本当の意味で何かに迷っているとき、占いには行かない。 たぶん、そういう風にできている。 どうした方がいいか分かっていても、それでも後押しして欲しいときに行くのだ。 尊と一緒にいて幸せになるはずないのに、それでも後押しして欲しくて行くのだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 私たちはよく、都庁北展望台で待ち合わせをした。 彼に会うために待ち合わせたのではなく、