氷点下32度の私たちは|prologue
カナダ、北緯63度、氷点下32度。
一面、白銀の世界。
部屋からは、ひらひら動くオーロラが見えた。
冬は朝11時前まで暗く、午後3時半には再び日が沈む。
夏は日付が変わる午前0時頃になっても明るい。
ダグラスは私のことを、陽の光を浴びた雪のように明るいと言った。
よく笑い、よく話し、時々芸術的だと。
自分でもギョッとする。
そんなこと、今まで一度だって言われたことなかった。
「明るい」なんて、私とは真逆の言葉だ。
『表情が読めない』
『結婚しなさそう』
『クール』