氷点下32度の私たちは|#0 北緯43度からの孤独
夜中2時ごろ、けたたましいサイレンの音が壁をつんざいた。
『全員階段で1階まで降りて!急いで!』
11階のRA(レジデント・アシスタント)が廊下で叫んでいる。部屋のドア下にはなかなか広い隙間が空いているから、外の騒ぎがすぐ伝わってきた。
火事か?
私はコートを羽織ってスマホを手に取り、すぐに廊下に出る。
ちょうど出てきた隣の部屋のフロアメイトが『よくあるんだよ』と教えてくれた。
何が「よくある」んだろうと思ったが、どうせ原因は後々分かるだろうと思って人混みの流れに