最近の女性声優のレベルが色んな意味で高すぎる件について
声優って、すごくないですか?
声だけでキャラクターに命を吹き込み、生き生きと躍動させるそのスゴ技たるや、常人には到底不可能の神業でしょう。
もちろん男性声優も凄いですが、特に最近の女性声優には色んな意味で驚嘆しっぱなしです。
そこで今回は、ほぼ10年ぶりぐらいにアニメ熱が再燃している私が感じた、最近の女性声優のレベルの高さについて、お話ししたいと思います。
(以下、特記なき限り「声優」=「女性声優」を指す)
私のオタク遍歴
「てめぇのオタク遍歴なんて興味ねぇよ!」と思われた方もいるでしょうが、すぐ終わりますのでお付き合いください。
さて、私の声優の知識は、10年前ぐらいで止まっていた。
10年前、つまり中高生時代の私はそれこそ狂ったようにアニメを観ていた。
ミルキィホームズ…イカ娘…HOTD…俺妹…荒川アンダーザブリッジ…さよなら絶望先生…瀬戸の花嫁…みなみけ…エトセトラエトセトラ…。
メジャーどころから少し王道から外れたアニメまで、とにかく貪れるだけのアニメは貪った。
季節の変わり目には、ニコニコ動画にUPされる新作アニメ紹介動画を参考にして、気になるアニメの放送日をリストアップ。全てのアニメを1話から3話まで視聴し、そこから"視聴を続ける作品"と"視聴をやめる作品"とにふるいをかけていく。その作業を毎クール延々と繰り返していた。青春のすべてをアニメに捧げていたと言っても過言ではない。え?彼女?はいはい次いくよ次。
声優知識の習得
そんなアニメに意識を乗っ取られたような生活を続ける中で、自然と声優の知識も吸収されていった。
佐藤利奈、森永理科、桃井はるこ、井上麻里奈、植田佳奈、新谷良子……このあたりが全盛期だろうか。
そこから少し進むと豊崎愛生、花澤香菜、竹達彩奈、米澤円などの現在では第一線で活躍する声優が台頭し始めた。
思えばその頃は、まだオタクがそれほど市民権を得ていなかった時代だ。Mステでアニメの主題歌やキャラソンがランクインしては、タモさんが渋面を浮かべていたのを思い出す。私自身も家族でテレビを観ていて急に『GO!GO!MANIAC』が流れた時なんかは、恥ずかしさのあまり心の中で「やめてくれー!」と叫んだのを覚えている。ドレミファドンのイントロクイズで『ハレ晴れユカイ』が流れてスタジオの空気が凍り付いた瞬間は二度と忘れない。そう考えると今は随分と生きやすくなったなぁ。
閑話休題。とにかく浴びるようにアニメを観ていた私は、声優の知識もカービィのようにどんどん吸収していった。当時の声優なら大抵は知っているし、ダメ絶対音感(※)にもある程度の自信を持っていた。
※補足
ダメ絶対音感とは、声を聞くだけで声優を当てられる能力のこと。
一説によると喜多村英梨の声を聞き分けられるかどうかが境界線だという。ちなみに筆者は能登麻美子と早見沙織の区別すら付いていない。ダメじゃん。
元ネタは久米田康治『かってに改蔵』第188話「ソ~は黒い空~♪♪」より
アニオタからの卒業
だが年を重ねるにつれて、アニメからは距離を置くようになった。高校受験の失敗と過酷な浪人生活を経て、自然とアニメに費やす時間が少なくなっていったのだ。
大学に入っても、観るのはせいぜい『けものフレンズ』か『SHIROBAKO』ぐらいで、他のアニメには全く食指が動かなかった。別れた彼女と再会するのをためらうように、一度距離を置いたものと再びヨリを戻すのは勇気がいる。彼女いなかったけど。
アニメとの別離に伴って、新しい声優に出会う機会も減った。
以前までは毎日更新されていた声優の知識が、ついに途絶えたのだ。
もちろんインターネットは常にいじっていたので、ツイッターのタイムラインやニュースサイトで声優の名前を見る機会は多かった。
だがいかんせん、そこに出てくる声優の名前が誰一人分からない。
「照井春佳?」
「鬼頭明里?」
「高橋李依?」
「潘めぐみ?」
「本渡楓?」
誰が新人で誰が人気声優なのか、まるで分からない。そんな状況だった。
オタク熱の再来
そこへ来て最近、外出自粛で暇すぎたので、よく動画配信サイトでアニメを観るようになった。
これが原因で私のオタク熱は再燃することになる。
未確認で進行形…てさぐれ!部活もの…ゾンビランドサガ…私に天使が舞い降りた!…Citrus…恋する小惑星…。
10年間の空白を埋め合わせるかのように視聴を繰り返す日々。
そのお陰で長らく放置されていた私の声優.comが、次々と更新されていった。
種田梨沙……上田麗奈……田中美海……Lynn……久保ユリカ……大橋彩香……
錆びた時計の歯車が、ギイギイと軋みを上げながらゆっくり回り始める感覚――
とまで言うと大げさすぎるけど、オタク熱が再燃したことで、多くの新たな声優知識を仕入れることができた。
その過程で私は、最近の女性声優のレベルの高さに驚かされることとなった。
(お待たせしました、ここからが本題です)
最近の声優の凄さ①:ビジュアルの高さ
一つ目が、美人の声優が増えたことだ。
最近人気の声優を見比べてみると、妙にビジュアルが重視されている感がある。
もちろんアニメジャンキーだった当時も美人の声優はいたが、そういう人は往々にして"美人声優"という肩書で特別扱いされていた。
しかし今は美人であるのが当たり前。声も顔も良くて初めて一人前。という風潮があるような気がする。勝手な偏見だが、あながち間違いとも言い切れないだろう。
ではその原因とは何か?
美人の声優が増えた原因のひとつに、声優のメディア露出が増えたことが考えられる。
昔も深夜番組やBSの番組に声優が出演することはあったが、ゴールデンの歌番組やバラエティ番組に出ることは滅多になかった。
だけど今はそれが普通となっている。私の感覚では水樹奈々が紅白に出始めたころから、他の声優もどんどんテレビ番組に進出するようになった。
先日もテレ朝のクイズ番組『ミラクル9』で、『のんのんびより』宮内れんげ役の小岩井ことりがゲスト出演していたし、同番組では以前にも上坂すみれや亀井あすかが呼ばれたこともあった。
そのようにテレビの露出が増えたことで、自然とビジュアルを求める声も多くなり、それが今の声優のビジュアルの高さに繋がっているのではないだろうか。
ただ美人の声優が増えることで業界全体がビジュアル至上主義となってしまわないか、それだけが心配だ。確かな実力を持った声優が、顔の一点だけでオーディションを落とされたり第一線で活躍できなかったりするようなことはあってはならない。そうならないよう、業界も私達ファンも気を付けなければならないだろう。
最近の声優の凄さ②:声の巧みな使い分け
2つ目の驚きは、声の使い分けがめちゃくちゃ上手であることだ。
どの声優も声色のレパートリーが豊富で、知ってる声優なのに声と名前が一致しないことが多々ある。
確かに10年前もそういう声優はある程度いた。例えば斎藤千和は『ぱにぽにだっしゅ!』のベッキーと『化物語』の戦場ヶ原ひたぎとでは声が全く違う。
だが最近の声優界隈には、それぐらいのモンスターがごろごろいるようなイメージだ。
例えばこれが沢城みゆきみたいに、声色にいわゆる"軸"のようなものがあり、そこから多方向に派生する形だったら分かりやすい。
でも最近の声優たちはJK、小学生、姉、妹、少年、青年、動物と、演じる役柄に応じて全く別の声を繰り出してくるから、まるで区別がつかない。「このキャラの声、聞いたことないけど声優さん誰なんだろう?」とエンドクレジットを見て、それがめちゃくちゃ知ってる声優だった時、ある種裏切られたような感覚を抱く。
例えるなら目の前にデジタルカメラと甲状腺がん治療薬が置いてあって、どちらも富士フィルムの製品だと言われた時のような、そんな感覚だ。例えが悪すぎる。でもそんな感じ。「嘘やん!?」ってなるし、「嘘つけや」ともなる。
そして、声の区別のつかなさが特に顕著だったのが、佐倉綾音である。
最近は色んなアニメに引っ張りだこで、「出てないアニメはない」と言ってもおかしくないぐらいの登板数だが、さすがの私も佐倉綾音ぐらいは知っていた。
ただ私の中で佐倉綾音といえば『じょしらく』の蕪羅亭魔梨威の印象が強く、「ちょっとガサツでハスキーな声を出す人なのかな?」というインプットのされ方だった。
だから今年『劇場版SHIROBAKO』を観に行った時、宮井が佐倉綾音だとは全く気づけなかった。毛ほども、これっぽっちも気付けなかった。前情報で宮井の声優は佐倉綾音だと知っていたはずなのに、それでも気付けないぐらいには声が全く違っていたのだ。
そのあとに『未確認で進行形』と『かくしごと』を観たが、それぞれのキャラも声が全然違う。まるで本当に別人かのようだった。
もしかすると佐倉綾音は、声色だけでなく声の周波数ごと変えているのではないだろうか。
声の周波数について
声というのはその人の生まれながらの個性である。「声紋」という言葉があるように、声の周波数を分析することでその声の持ち主が誰なのかを特定することが可能だ。前述したダメ絶対音感も、その声の周波数を感覚的に分析することで誰の声かを聴き分けていたのだろう。
だが中にはその周波数自体を全く変えられる人も存在する。
例えばナレーターの垂木勉さんは昔、あるバラエティ番組で専門家に音声分析してもらったことがある。
その結果、垂木さんは周波数の異なる全く別の声を使い分けられることが判明したのだ。
「垂木勉さんって誰?」
という方は、もしあなたがテレビっ子なら『Qさま!』のナレーションと『中井正広のブラックバラエティ』のタンジェント君(画像参照)の声を思い浮かべてもらえれば分かりやすい。知らない人はごめんなさい。
タンジェント君
とにかく、もしかすると佐倉綾音もその類の人間なのではないだろうか。声の周波数を変えることで七色の声を使い分ける。そんなスゴ技を持った声優なのではないだろうか。
最後に
以上が、私が最近の女性声優に感じてる凄さについてである。
この記事を読んで、女性声優への見方が少しでも変われば嬉しい。
だけど一つ目のビジュアルについては納得してもらえる方も多いだろうが、二つ目の声の使い分けに関しては小首をかしげる人も多いかもしれない。
なぜなら単純に私の耳が衰えてきて、判断がつきにくくなっているだけ、という可能性も捨てきれないからだ。
その証拠に私は男性声優の声も区別しにくい。
三宅健太や稲田徹みたいに低い声だったり、大塚芳忠や若本規夫みたいに声が特徴的だったりする人は分かるが、最近の男性声優に多い中性的な声の人は、ちょっと気を抜くと誰が誰だか分からなくなる。
特に最近は、ファンの人からしたら信じられないかもしれないけど、梶裕貴と下野紘と花江夏樹の3人がすぐにごっちゃになる。多分下野紘がエレン・イェーガーをやっても気付かないと思うし、花江夏樹の代役で梶裕貴がおはスタに出てても何の違和感も抱かないと思う。
……やっぱり私の耳が悪いようです。明日耳鼻科にでも行こうと思います。
それでは。
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