スゴいぜ、ナレーター―10月26日
最近、頭がうまく働かない感覚がある。
昔からそうだろと私のことをよく知る人は言うだろうが、それにしたって頭が働かない。
錆びついたというより、歯車が噛み合ってなくて空転してるような、そんな感じ。
仕事もミスばかりだし、今朝やった仕事を昼にはもう覚えていない。もちろん昨日教わったことはすっぽり抜け落ちてる。論理的思考なんて以ての外だ。もうなんか何もわからない。
これは良くないと思い、友人に脳の病院を紹介してもらった。再来週あたりにでも検査をしてもらおうかと思う。
でもこれで検査結果がオールグリーンだったら「ただのバカ」ということになってしまうので、何かに引っかかってくれることを願うばかりだ。
今日はナレーションの仕事をさせてもらった。スマホの録音アプリを使い、イヤホンマイクに向かって台本を見ながら一人あーだこーだ言う仕事。
ナレーションといってもザ・ノンフィクションとか情熱大陸のそれみたいな大仰なものではなく、弊社が運営するサイトに掲載する2分ぐらいの動画にちょっと声を吹き込んだだけだ。
だがそれでも、昔取った杵柄ではないが、学生時代に培った演劇的な技術をこうして社会に出ても活かせるというのは嬉しいものだ。
ただナレーションの発声は、舞台上でのお芝居のそれと少し勝手が違うので戸惑った。
お芝居はダミ声だったり甲高い萌え声だったり、あるいはボソボソとした喋り方や舌足らずな喋り方でも"個性"として認められることはある。私も大学の演劇サークルのときはとにかく滑舌が悪かったが、演出家に「滑舌が悪いのもひとつの味だ」と言われて嬉しかった記憶がある。まあそれは置いといて。
だがナレーションはとにかく聞いてる人を不愉快にさせず、かつ内容を抜かりなく相手に伝えなければならない。
しかもマイクが近いので、少しの息遣いやリップノイズでもアウトだし、たった一文字滑舌が甘いだけでもすごく気になってしまう。
それに自分がやりすぎだと思うぐらいに抑揚をつけないと、すぐ平板な喋り方になってしまうので、それも気をつけなければならない。
それらを気にしながら上手く発声しなきゃいけないので、収録はとても大変だった。加えて自分の声の悪さやゴニョゴニョした喋り方が気に食わず、結局2分間の動画に2時間近く費やしてしまった。OKはもらえたが、「本当にこんな声でいいの?」と熟女AVのセリフみたいなことを思ってしまった。
などなど、ナレーションという仕事の難しさ、シビアさを思い知った一日だった。窪田等さんとか平野義和さんとかって、やはりスゴいんだね。
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