神の一手と嘘つき―2021年4月7日

・ヒカルの碁が面白い

・囲碁を中心に巡る人間模様や勝負の駆け引きもさることながら、キャラクター描写が絶妙だ。

・元気はつらつだが人一倍向上心の強いヒカル、歴史の重みを感じさせながらもひょうきんな言動が愛らしい佐為、羨望と嫉妬の眼に晒されながらヒカルを横目に我が道を突き進む塔矢アキラ。

・これらの主要人物を筆頭に、優しいけど悔しがり屋な筒井、将棋部ながら囲碁も強い破天荒な加賀、口は悪いけど意外にヒカル想いな和谷、飄々としていながら老練のプロに「ジジイ」と言ってのける緒方、ただただ可愛い奈瀬さんなどなど。全キャラに言及しようとするとキリがない。

・こうして見ると、みな何かしらのギャップを持っている。最初は嫌なヤツに見えても回を経るごとに優しくて人情深い裏の顔が見えてくる。逆に勝負外では優しそうだが碁盤の前では豹変する人もいる。そういった一筋縄ではいかない人間臭さが魅力なのだろう。

・ヒカルの碁の評判や感想を調べると、多くの人が「一番の名シーンは伊角戦」と異口同音で語っている。9巻まで読み終えた段階で、伊角さんは確かに登場しているが、ファンが口を揃えて絶賛するほどの活躍はまだ見せそうにない。ただ今年が院生最後の年、プロ試験には絶対に受からなければならないと語っていたので、その辺りの苦悩が絡んでくるのだろうか。

・TSUTAYAで借りているので、はやく返却して続きを読みたい。


・あと一緒に借りている漫画では嘘喰いも面白い。知略に長けた主人公が生き死にを賭けたゲームで何度も死の間際に立たされながらも勝ち進んでいく、というギャンブル漫画の王道ともいえる話なんだけど、意外とアクションシーンが豊富だったり滑稽なギャグも挟まれたりと飽きさせない。

・そしてこちらもヒカルの碁とは別ベクトルで面白いキャラクターばかりが登場する。特に夜行さんがかっこよすぎる。『ヘルシング』のウォルターもそうだけど、やっぱ戦える老人って男の憧れよね。マルコみたいな「頭が悪いけど心優しい怪物」も好き。どうでもいいけどグーグルで「嘘喰い マルコ」と調べたらサジェストに「死亡」と出てきた。何も見なかったことにしよう。

・福本伸行の『銀と金』や『天』を読んだ時にも感じたが、天才主人公に憧れるヘボな相棒が段々と力を付けていく展開が好きだ。梶がギャンブル中に母親の彼氏に絡まれて「獏さん!こ、これって暴力禁止のルールとかありますか⁉」と尋ねて「いや、ないよ」という答えをきいた瞬間に「そうすか」と真顔で彼氏をアッパー一発で打ちのめすシーンが特にお気に入り。

・嘘喰いもすごく良いところで終わっているから早く続きが読みたい。同時に二作品に魅了されている現状、かなり楽しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?