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有罪モラトリアム──2024年3月7日


『ぼっち・ざ・ろっく!』の喜多郁代の髪の構造が分からないという一般の方の投稿に、『ぼっち・ざ・ろっく!』のキャラデザ&総作画監督の方がそっと指南するという驚愕の事態が起きていた。原作者と並んでこれ以上はない有識者。例えるなら、パソコンが壊れてカスタマーセンターに行ったらビル・ゲイツが出てきたみたいな、トイレが空いてなくて困ってたらTOTOの社長が便器を増設してくれたみたいな。こういうことが平気で起こるからSNSってすごい。俺だったら歓喜と困惑と羞恥に挟まれて狂い死ぬ。



明治大学近くの「宮古」という沖縄居酒屋がいつの間にか閉店したらしい。「宮古」には一号店と二号店があって、今回閉店したのは一号店、よく利用してたのが二号店なので深い思い入れがあるというわけではないのだけど、一号店の方も数回ほど利用したことがあるし、それを抜きにしても学生時代の光景が徐々に失われゆく現実に寂しさを感じる。

利用したのは、主に打ち上げのためである。いや正確には主にではなく、もはや打ち上げでしか利用したことがない。

演劇サークル時代、千秋楽を終えてバラシを終えたのち、疲れた身体を引きずって一旦笹塚の銭湯で汚れを洗い流し、そのまま「宮古」へ直行して飯と酒で大いに盛り上がった。

現在はどうか知らないけど、かつては2階の大広間を含め店全体を朝まで借りることができて、店員さんがいなくなった深夜2時頃になると近くのコンビニで酒とつまみを買い込んで、ある者は眠り、ある者はトランプなどで遊び、ある者は酒に溺れて正気を失い、ある者は一階で真面目な話を静かに語り合ったりした。ちなみに自分は4年間を通してほぼ3番目のタイプであった。

稽古、小屋入り、本番を経て各人積もりに積もった思いがある状態で、しかも酒が入り店員もいない無法地帯。それはそれは色んな事件が起こったわけだが(自分とて部外者ではない)、それはまあここでは語るまい。

でもその分、心と記憶には強く残り、卒業して5年以上経過した今でも、当時の友人らと会うとこういう話ばかりする。あけすけに言えば、楽しかった。翌日のことを何も考えずにバカスカと酒をかっこんで、大騒ぎして、気絶するようにグースカと寝て、朝の路肩に胃の中をぶちまけて、必修の一限はもちろんすっぽかして、でもそれを何とも思ってなくて。罪と業にまみれた、人生のモラトリアム。戻れるなら戻りたい。


錆びた10円玉かと思ったらピップエレキバンだった

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