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【微ネタバレあり】人生でいちばん泣いたアニメ

泣くことに抵抗があった。

人前で泣くのは恥ずかしいという固定観念があり、それが肥大化してひとりのときにも涙を流せなくなっていた。かれこれ10年ぐらいそうだった。「◯◯をみて泣いた」とツイートすることはあっても、それは一種の誇張表現でしかなかった。

まるで涙腺の出口で重厚な扉がせき止めているように、泣こうと思っても泣くことができなかった。


でも、あるアニメをみたとき、それはいとも簡単に覆された。

涙腺の重い扉は音を立てて決壊し、滂沱の涙が滝のように頬をとめどなく流れ落ちていった。そんな経験は久しぶりだった。嗚咽で半ば過呼吸になりながら、しばし呆然としてしまった。


『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』

通称バンドリ!とも呼ばれる、スマホ用リズムゲームが原作のアニメシリーズ最新作である。

MyGO!!!!!という5人組のガールズバンドが結成されるまでの物語が、シリーズ唯一と言えるほどシリアスで陰鬱な雰囲気で描かれる。


バンドアニメといえば「けいおん!」や、最近では「ぼっち・ざ・ろっく!」みたいに、女の子たちが和気あいあいとじゃれ合ったりお茶したり演奏したりというイメージがあると思う。

だが、本作はものの見事に正反対だ。

自罰的で孤独に苛まれる者、周囲に敵意を振りまく者、打算で動く者、裏側の本性をひた隠しにする者、欲望の赴くままに行動する者……。

鬱屈した性根を抱えた少女たちが、バンドというコミュニティで口論やすれ違いを繰り返し、傷付きながらも、必死にあがき、叫び続ける。そんな話だ。1話冒頭からバンド解散(正確にはバンド結成したメンバーの脱退)のシーンで始まることからも、本作の方向性が分かるだろう。

とにかく心情描写がリアルで、かつ台詞のひとつひとつも胸をえぐってくるから、本当に視聴中ずっっと胃が痛かった。しかもこれは彼女たちの信念や欲望、あるいは一種の偶然が積み重なっての悲劇だから、尚更どこに救いを求めればいいのかが分からない。特に7話のラストはその究極である。エグい。とにかくエグい


でも、そんな精神的ダメージに耐えた先に待っているのが、伝説と名高い第10話。この回が本ッッッッ当に素晴らしい。本性がむき出しになり、修復不可能なほど崩壊した彼女たちが見せる奇跡のステージ。1話〜9話までの過程で胸中に蓄積されていた葛藤や懊悩がすべて、たった4分程度のライブで救済され、音楽・詩の力によって天高く昇華される……。

自分はそれなりにアニメを見てきた方だと思うが、こんなに熱くて胸が震えるシーンは今まで見たことがない。放出した涙の量も人生でいちばんだった。3回見て3回とも同じぐらい泣いた。今後の人生でもこれを超える作品はしばらく出てこないんじゃなかろうか。本気でそう思っている。


アマプラやU-NEXTでも配信してるから、この日記を読んでくれてるあなたに、ぜひ見てほしい!(すでに見てたらごめん!)

バンドリ!というシリーズのひとつではあるけど、他の作品を全く見てなくても問題ない! 実際俺も見てなかったけどここまでハマれてるから!!

あとCGアニメだったり声優も新人さんが多かったりと、最初は違和感があるかもしれないけど、3話を見る頃にはむしろ愛おしくなっているはず。そしてこの3話がこれまた最高なんだ。ストーリーもさることながら、CGアニメじゃなきゃできないような演出もあったりして。

でもできれば10話まで、とりわけ7話〜10話の流れは個人的にアニメ史に残るぐらい素晴らしいので、そこまで見てほしい!!絶対後悔しないから!!

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